実践のための学校教育相談ハンドブック-011/083page
など,児童生徒の立場に立った進路相談が求められます。
B 適応相談をすべての児童生徒を対象に行う
不適応や問題行動を持つ児童生徒を対象としたものだけを,教育相談の内容だと考えていませんか。適応相談は,学業(学習)や進路(針路)の相談を重視した上で,バランスのとれた人格の発達を援助するための相談であり,すべての児童生徒が対象です。学校生活によりよく適応していくために「友人関係」や「性格」などの適応相談を積極的に行うことが求められます。教育相談には面接ばかりでなく,それ以外の方法がたくさんあります。児童生徒は教室や廊下,授業時,休み時間など日常生活のあらゆる機会に,サインを出しています。教師はこれらのサインを見逃さず,適宜様々な方法で教育相談を進めたいものです。例えば,
* 日記指導や交換ノートの例
・日記や交換ノートを継続して指導していると,児童生徒一人一人の興味や関心,心情,悩み,友人関係などが見えてきます。それに対し,教師はあるがままの気持ちを素直にコメントしていくことで,相互の人間的な触れ合いが生まれます。このような方法でのやりとりは,児童生徒理解や人間関係の深化が期待でき,信頼関係づくりに有効です。
* ゲームの例
・ゲームは,性格や考え方などが素直に表れるので,児童生徒理解には欠かせない方法です。ゲームの中で,児童生徒のありのままの気持ちを的確にとらえ,教師に映ったありのままの気持ちを返してやることで児童生徒は自分の姿に気付き,自分を洞察できるようになります。このように,面接以外にも教育相談の方法はたくさんあり,それらは教師と児童生徒間の信頼関係を深めることに役立つことも,心得ておきたいものです。