実践のための学校教育相談ハンドブック-016/083page

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 V 学校教育相談を生かす授業・学級経営


 1 授業に生かす

授業は,教師の発問と児童生徒の応答の連続で進んでいきます。教師の発問や対応の仕方で,授業の流れが一変します。ここでは,面接の技法を生かした「発問」と応答に対する「対応」について考えてみます。

(1) 発問の仕方

【開かれた質問、閉ざされた質問】
  A:奈良の大仏の建立は,農民のためになりましたか。
  B:奈良の大仏の建立を,農民はどのように思っているのでしょう。

Aのような「はい」「いいえ」で答えざるを得ない発問を,面接の技法で「閉ざされた質問」といいます。これは理解の確認で終わる発問であり,理解の内容や程度の把握には適切ではない発問といえます。しかし,その後の指示を次のように工夫すればどうでしょうか。

奈良の大仏の建立は,農民のためになりましたか。「はい」と思う人は,マルを,「いいえ」と思う人はバツをノートに書きましょう。どちらか書いたら,その下に理由も書きましょう。

○か×を選んでノートに書く作業を通して参加意識が高まります。教師は,机間指導をしながら自己決定した子供や理由を書いている子供を適切に評価します。さらに○か×かを挙手などで確認すると,自分の立場が明確になります。理由の発表では,自分の立場を意識しながら聞くようになり,理解の広まり深まりが期待できます。

Bは「開かれた質問」です。初発の感想発表や自由試行後の気付きなどを生かすための課題づくりの場に有効であり,子供の発想や思考過程を大切にした授業の展開に適した発問といえます。発問後は,子供の表情や姿勢,身振りなどの非言語的表現に注意しながら,「今の質問の意味がわかったかな」と確認した後,「5分で自分の考えをノートに書きましょう」などと指示することが大切です。

(2) 対応の仕方

授業を効率よく進めるため,教師の意図する発言が出るまで,「ほかに」


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