実践のための学校教育相談ハンドブック-017/083page
を繰り返すことがあります。このような対応は,子供たちに「まちがった」「先生は聞いてくれない」という意識を持たせることになり,授業は活性化しません。様々な場面にどのように対応すればよいのでしょうか。
何を言いたいのか,発言の意図がわからない子供に 最後までよく聞き,「なるほど,そういう見方もあるね」「うん,それもあるね」など,共感的に受け止めるようにします。また,「あなたの言いたかったことは,〜ということなのかな」と要約してあげ,自信を持たせることも大切です。それができないときは,「○○さんは,どんなふうに考えたのかな」と学級に問い返します。子供たちに問いを共有させながら,子供同士の共感的理解を促すことにもつながります。
黙ったまま,発言しない子供に まず教師は,質問の意味が分からないのか,表現したいことが言葉にならないのか,一つに絞れなくて迷っているのかなど,沈黙の意味を考えます。次に,「言いたいことが言葉にならないんだね」などと,沈黙の意味を言い換えて子供に返します。子供は,「自分の気持ちを分かってくれている」と,教師への信頼を高めます。また,教師や他の子供との人間関係の気まずさが原因となっている沈黙について考えてみることも大切です。
困った発言をする子供に 子供からの質問に教師がすぐ答えられない場合は,「どんなことからこの質問を考えたのかな」「先生,うまく答えられないんだけど,あなたはどう考えているのかな」と返します。教師がわからないことは「わからない」と言うことが大切です。立場や面目にとらわれることなく,素直な自分の気持ちを声や表情に出す(自己開示)ことが,子供との信頼関係を深めます。
発言への中傷や非難が多い子供に 授業内容が理解できていないか,自分に関心を引きたい,または何かに不