実践のための学校教育相談ハンドブック-019/083page
すると,個々の子供の変容が把握でき,また,アフターケアに生かすことも可能になります。@ 展開上の留意点
〔ウォーミングアップ〕
エクササイズの前に,参加者のモチベーション(動機付け)を高めたり,緊張感を解きほぐしたり抵抗感を取り除いたりする目的でウォーミングアップを行います。
〔ウォーミングアップの例〕
【例@:後出しジャンケン】
◆ 教師の「ジャンケン,ポン(教師が出す)のポン(子どもが出す)」のかけ声に合わせ,教師に勝つ,または負けるものを出す。
・チョキを「2」に例え,足して「5」または「10」になる数を出すというやり方もある。
【例A:ジャンケンパッチン】
◆ 2人組で左手で握手をし,右手でジャンケンをする。勝った人は,負けた人の左手甲をたたく。負けた人は,たたかれないように右手でガードする。
【例B:インタビュー】
◆ 2人1組となり,話し手と聞き手に分かれる。聞き手は,「あなたはどんな人ですか」とインタビューし,話し手は簡潔に答える。時間になったら交替する。
・このペアが2つ集まって,4人グループをつくる。インタビュー内容をもとに,他のペアに紹介する「他己紹介」へと発展できる。
【例C:フィーリングパートナー】
◆ 3つの質問の答えが全て同じ人をさがしてペアまたは3人組をつくる。
(例)「1問目:カレーとラーメンのどちらが好き? 2問目:春と秋,どちらの季節が好き? 3問目:ペットを飼うなら犬?猫?3つとも同じ答えの人をさがしてペアをつくりましょう」
〔抵抗とアフターケア〕
エクササイズに身体表現や男女の身体的接触がある場合,子供によっては,そのことに抵抗を持つことがあります。抵抗の理由を聞いたり,教師の手伝いなどの役割を持たせたりして疎外感を与えないようにしましょう。また,本音と本音のぶつかり合いの中で,心が揺り動かされて一時的に不安定になる子供もいます。エクササイズ後の交友関係に注意したり,振り返りカードなどで心理的ダメージの内容を把握したりして,一人一人の心のアフターケアに努めたいものです。実施にあたっては,教師が事前に体験しておくこと,エクササイズに積極的に参加し自己開示することが大切です。また,エクササイズの選定にあたっては,発達段階や学級の実態・成熟度などに配慮しましょう。