実践のための学校教育相談ハンドブック-022/083page

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(2) アサーショントレーニング 〜自己表現のカを育てる〜

「キレる」「ムカつく」子が増えています。一方,「何も言えない」「表情が乏しい」子も増えていると言われています。いずれも,自分の感情をコントロールする力が弱いことや,自分の感情や思いに即した表現方法,手段がわからないことが要因と考えられます。

自己表現のパターンは,「キレる」「ムカつく」子に代表されるような@「攻撃的な自己表現(自分が正しいことに固執した攻撃的な話し方)」,A「非主張的な自己表現(自分の考えを押さえた,または相手に合わせた受け身的な話し方)」やB「アサーティブな自己表現(相手の気持ちを考え尊重し,それでいて自分の言いたいことをはっきり主張する話し方)」の3つに大別できます。@やAは,これまでの経験から身に付いた表現方法であり,学習によって,Bへ変容が可能なものです。
それには,自分や他者の感情を理解しながら,双方にとって適切な表現の仕方を体験的に学んでいくことが必要です。こうした体験を通してアサーティブな自己表現の力が身に付いていきます。

小学校高学年を対象とした実践〔アサーティブな自己表現を身に付けるステップ〕を紹介します。

@ ステップ1:言語・非言語的表現の大切さに気付く授業
1 ねらい…受容的に聞くことが,両者にとって気持ちのいいものであることがわかる。
2 主な活動
 (1) 「冷たい聞き方」のモデリングを観察し,その特徴を,言葉や表情からまとめる。
  ・冷たい聞き方…聞きたくないと言う表情や態度。口をはさむ,反対する。
 (2) ペアになって「冷たい聞き方」のロールプレイをし,そのときの気持ちを振り返る。
 (3) 「温かい聞き方」のモデリングを観察し,その特徴を,言葉や表情からまとめる。
  ・温かい聞き方…相手の目をみて「うんうん」とうなずきながら受容的に聞く,相づちを打つ。
 (4) ペアになって「温かい聞き方」のロールプレイをし,そのときの気持ちを振り返る。
 (5) 振り返りをし,教師のまとめを聞く。
3 留意点
 □ 「話してみて」「2つの聞き方で聞いてみて」どんな感じがしたか振り返る。
 □ ロールプレイが初めての学級には,「ジェスチャーゲーム」(表情や身振りから,ある内容を当てる)などを行い,抵抗(参加を渋る,てれる,ふざける)を取り除く。


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