実践のための学校教育相談ハンドブック-032/083page
X いま大切にしたい連携
1 どうする保護者との連携 学校・教師と保護者との連携のねらいは,児童生徒のよさや可能性を伸ばし,自己実現を支援し,望ましい人間を育成することにあります。その推進には,児童生徒の心の安定を図るにはどうするか,保護者が児童生徒の成長の援助者としての役割を果たしていくにはどうするか等,課題が具体的で,その解決のための明確な内容,方法が大切な要件となってきます。
近年,学校・教師と保護者との間には,価値観や考え方に差異が生じてきています。それだけに,理解と信頼,信頼と協力を前提とする相互の連携では,保護者の立場を十分配慮していく必要があります。
ところで,保護者との連携を形だけではなく,本来の役目を発揮し,実効あるものへと改善するための視点として,以下のことが考えられます。
まず,学校・教師と保護者との間では,
・自校の児童生徒に対する願い・期待,情報を,保護者に正しく伝える
・保護者の願い・期待,情報を正しく受け止める
ことが,意図的に,計画的に,継続的に行われるようにすることです。次に,連携を深める機会ということでは,その意味付けにおいて
・保護者の児童生徒への愛情と信頼が深まるようにする
・児童生徒の問題を,保護者の問題として考えていけるようにする
・保護者の役割を自覚し,援助者として自信や意欲が高まるようにする
等を基本に,学級通信,学校だより,学級懇談会,保護者との個人面談,家庭訪問等,創意工夫のもとに実践が行われるようにすることです。また,問題傾向をもつ児童生徒の保護者との連携では,保護者は常日ごろ
・家庭教育や保護者の問題点を,学校・教師に指摘されたくない
・学校・教師から,問題解決のノウハウを今すぐに助言してもらいたい
等の考えを抱いていることを心得,適切に配慮していくことです。