実践のための学校教育相談ハンドブック-034/083page

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 Y 諸問題の理解と対応

 1 理解と対応の基本 〜はけロを求めて揺れ惑う心〜

(1) はけ口を求めて揺れ惑う心

不登校児童生徒の増加や非行の低年齢化,いじめに起因する自殺や殺人事件,小学校を中心とした学級・授業崩壊等,今日の様々な問題行動の背景には,「心の荒れ」「社会性の未熟さ」「規範意識の希薄さ」「耐性のなさ」等があると言われています。私たちは,こうした状況を真摯に受け止めるとともに,「真の問題は何か」という視点から,一人一人の内面を理解することが大切です。

児童生徒たちは,日常場面で実に多くのストレス源に遭遇しながら,思い通りに処理できずにいます。慢性の欲求不満状態にある彼らは,ちょっとした刺激に過敏に反応したり,友達関係において自分らしさを発揮できずに孤立化したりしています。本当は,自分の気持ちや考えをわかってくれる人を求めていながら,素直にあるいは自然に感情を表出したり交流したりした経験が乏しいため,自信が持てず,不安などから内面とは裏腹の言動をしがちになります。

学校,家庭,地域社会,いずれにおいても自己の存在・居場所をつかめずにいる児童生徒は,蓄積されたストレスを吐き出す場や機会を探し求めています。たとえ,それがどんなに悪い,いけないことであっても,また一時的なものであっても,癒されたいと思っています。現実と仮想の区別がつかないまま,リセットボタンを押せばまた元どおりになるといったゲーム感覚にも似た残虐な行為に走る事例などは,人間関係を築けず,自立しにくい現代の児童生徒の苦しみを象徴する出来事であるといえます。

問題行動のとらえ方・問題行動の現れ方(2) 問題行動のとらえ方・問題行動の現れ方

問題行動とは,児童生徒が欲求不満や葛藤に対して,その処理に失敗し,学業面,性格行動面,精神身体面などに様々な支障をきたした状態を示す行動をいいます。問題行動は,問題の一部分が現れたものにすぎません。問題行動を「氷山の一角」ととらえ,現象の背後にある内面の問題に気付いていくことが大切です。


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