実践のための学校教育相談ハンドブック-038/083page
4 不登校 〜とまどい,対応の難しさ〜 (1) とまどい,対応の難しさ
中学1年の娘ですが,朝になると決まってお腹が痛いと言って起きてきません。前の晩は元気に準備をするのですが……。そんな様子を見兼ねて,無理やり連れて行ったら,放課後までいることができました。担任の先生からは,普通に過ごしていたと連絡がありました。その後,何度か同じことを繰り返しましたが,最近では連れ出そうとすると抵抗して言うことをききません。5日前からは学校へ行かなくなり,部屋から出ようとしません。 上の事例は,学校へ行けない(行かない)現象に対して親としての心配や不安から登校刺激を与えていますが,親の思いは伝わるどころか,むしろ親子関係は悪化の方向へ進み,娘の方はますます心の居場所を失いかけています。不登校の場合,「この子は,学校へ行きたくても行けないのか,怠けなのか」「登校刺激を与えるべきか,控えるべきか」など判断が難しく,対応は慎重に行わなければなりません。
(2) 登校刺激をどうするか
本人の傾向や状況から不登校のタイプや時期を見極めることが重要です。ここでは,対応を誤りやすい「神経症的タイプ」と「怠学傾向タイプ」について考えてみます。
神経症的タイプ ……何らかの心理的・情緒的理由により,登校したくともできない不登校の型。本人は登校の準備をしたりするなど努力するが,不安や緊張,心理的葛藤や情緒的混乱により登校できずに苦しんでいることが多い。
怠学傾向タイプ ……学習意欲に乏しく,何となく欠席を繰り返す無気力型や遊び回ったり非行グループに入ったりして登校しない非行型の不登校。登校しても遅刻や早退,授業放棄などを繰り返す。
この2つのタイプに登校刺激を与えるかどうかは,表情や態度が急変する