実践のための学校教育相談ハンドブック-040/083page

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(3) 学校と家庭との連携のために

不登校の児童生徒をもつ家庭の多くは,本人の一挙手一投足に一喜一憂し,本人と同様に大きく揺れています。

学校の対応としては,「家で甘やかしているのでは?」などと否定的な対応をせず,まずは混乱している親や家族の精神的な安定を図ることが大切です。つらさや大変さに共感し,受け止めることで信頼関係を築き,本人へのかかわりを一緒に考えるようにします。親が慌てず,登校しようとしてもできない本人の気持ちをわかろうとかかわるようになれば,本人は追い詰められた状況から解放され,気持ちも落ち着き,改善の糸口を見いだしていくことも可能になっていきます。

また,医療機関から「自律神経失調症」「起立性調節障害」などと診断され,登校刺激をしないように言われる場合があります。この時,家庭と担任(学校)との間に信頼関係ができていないと,学校からの働きかけを一切拒否するということもあります。

学校と家庭との連携のためにこのような場面では,親の考えや思いをしっかりと聴き,十分に尊重した上で,学校のかかわりが必要な時は,いつでも気軽に連絡をもらえるように話をします。また,本人には直接会ったり連絡したりすることは控えますが,親には継続して連絡をとっていきたい旨を伝え,互いに協力し合うことを確認しておきます。家庭の状況も様々で対応も難しいケースが多いのですが,あきらめず,根気強く取り組むことが必要です。

状況によっては,本人が診察を受けている専門医と連絡を取り合って,本人の状態や気持ち等を把握するとともに,校内(学年等)では,本人や家庭の実態を踏まえた指導援助の方針・実施について話し合い,いつでも,どこでも対応できる態勢づくりをしておくことがさらに大切です。

直接本人とはかかわる機会がなくとも,親や家族との関係づくりを進めながらどんなに細くとも,つながっている糸を切らないようにしたいものです。


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