実践のための学校教育相談ハンドブック-041/083page
5 いじめ 〜発見・対応の難しさ〜 (1) 発見・対応の難しさ
いじめの発見・対応が難しいのは,被害者も周囲の傍観者も身近にいる教師や親に打ち明けることができず,事態を悪化させてしまう傾向が強いからです。また,加害者も自分自身の行為を振り返ることがなく,相手の反応をおもしろがって一層残忍性を帯びた悪質ないじめへと発展しがちです。
一方,いじめを発見しても,教師(集団)が被害児童生徒を取り巻く人間関係や学級集団の状況等を十分に把握していないと,当事者同士を呼び出して握手による仲直りをさせたり,強い叱責により加害児童生徒を一方的に押さえこもうとしたりしがちです。このような表面的な指導援助は,一時的にいじめを沈静化させることがあっても,多くの場合,陰湿化・長期化の要因となります。事実確認や対応については,慎重で細心の注意が必要です。
(2) いじめの早期発見のために
まず大切なことは,『いじめはどの学級・児童生徒にも起こり得る』という認識をもち,児童生徒の発するサインを丁寧に読み取ることです。例えば,毎日の観察や接し方も,ただ漠然と行うのではなく,授業,休み時間,登下校など様々な場面や機会を通して
・顔の表情や語調(明るさ,元気さ)
・友だち関係(一人でいる,いつもとは別のグループにいる)
・生活や学習状況(急に口数が少なくなった,意味もなく職員室に来るようになった,気の抜けた返事や動作が増えた)
等の変化をとらえ,多面的に理解するようにします。表情の冴えない児童生徒への言葉かけ,当番活動へのねぎらい,学習のつまずきに対するワンポイントアドバイス等,わずかな時間でも,取り組みによっては貴重な情報収集やラポール形成につながります。
また,日ごろから教師間の情報交換を行うとともに,発見・対応のマニュアルを作成し,全職員で共通認識をもつことも必要です。いじめ調査では記入時の様子をさりげなく観察し,その様子や記載事項について学年会等で話