実践のための学校教育相談ハンドブック-042/083page
し合いをもったり,マニュアルを参考に様々な状況を想定しておくなど,早期発見の自校化を図っていきたいものです。
(3) いじめの事実がわかったら
生徒指導担当や学年会と連携し,複数の教師で対応します。
被害児童生徒は,精神的打撃や仕返しを恐れて事実を話せないことがあるので,安心して話ができるようにゆったりと丁寧に聴くことを心掛けます。
「そのくらいは何でもない。先生が子供のころもあった。もっと強くならないと……」などと,自分の体験や価値観を押しつけて本人の気持ちを否定するようなかかわりは避けるべきです。信頼関係を大切にしながら,本人の不安感や挫折感を少しずつ軽くしていくことが,当面の目標です。また,徐々に回復の兆しが見られたら,本人を認める肯定的な働きかけを行い,人間関係づくりを支援します。あくまでも本人のペースで進めることが重要です。
加害児童生徒には,どんな理由があろうと,相手の心を傷つけ,苦しませることは決して許されない行為だということを理解させる必要があります。
かかわりの基本は,しっかりと話を聴くという姿勢をもちながら,いじめの行為を被害者の立場から一緒に考えることです。また,加害児童生徒がいじめをせざるを得ない自分の気持ちを素直に表出した時は,受容的な態度でかかわりたいものです。そのような児童生徒ほど,どうせわかってもらえないという気持ちから反抗的で投げやりな言動をとりがちです。しかし,そのような時は過剰に反応せず,冷静に受け止め,感じたことを伝えながら,児童生徒の気付きが促されるよう,根気強くかかわることが大切です。学級においては,自分たちの問題としてどうすればいじめのない学級になるかを考え,実践していくことが鍵となります。その際,児童生徒の自発的な取り組みが求められますが,それを支えるものは教師自身の自然な,ありのままの姿や親身なかかわりであると言えます。