実践のための学校教育相談ハンドブック-043/083page
6 学級・授業崩壊 〜学級・授業崩壊はなぜ〜 (1) 学級・授業崩壊はなぜ
小学校低学年では,就学前の養育や躾などにより,思うように人間関係が結べず,集団生活に適応できない児童による集団の未形成が見られます。
小学校高学年では,学級担任の問題行動への対応の遅れや,教師主導で児童不在の学級経営に対する反抗や反発が見られます。
中学校・高校では,授業の内容や進め方への不満や否定的なかかわりに対する教師不信を契機にストレスのはけ口を特定の教師に向けた事例が見られます。
このように発達段階で異なる崩壊は,小学校では,担任の学級経営の考え方や児童理解の在り方に起因した『学級崩壊』として現れ,指導力のある担任でも指導が困難なケースが特徴です。中学校・高校では,特定の教科で授業が成立しない『授業崩壊』が,その特徴です。
(2) 学級・授業崩壊を防ぐために
小学校低学年
・ 地域の幼稚園,保育所との緊密な情報交換[合同研究会,授業参観等]
・ 児童の生育歴や家庭環境等の把握[家庭・地域訪問,校内の情報交換等]
・ 児童や保護者の実態を踏まえた学級づくり[保護者懇談会,通信等]小学校高学年
・ わかる喜びのある授業づくり[合同授業や交換授業等]
・ 担任支援態勢づくり[複数の教師による児童理解と指導援助の実践等]中学校・高校
・ 協力的な指導態勢づくりと校内組織の活用[TT,学年会等]
・ 生徒理解や教育相談に関する校内研修等の実施[事例研究,情報交換等]なお,これらの対応は校種や学年に限定されるものではありません。困難な状況と誠実に向き合い,教師間や保護者との信頼関係・コミュニケーションを保ちながら,学級の状況に応じて対応することが大切です。