実践のための学校教育相談ハンドブック-046/083page
8 校内暴力 〜学校や教師に対する不満・苛立ち〜 (1) 学校や教師に対する不満・苛立ち
暴力を起こしやすい児童生徒は,「攻撃的・衝動的である」「自己中心的で,顕示欲が強い」「孤独感・劣等感が強い」等の性格・特性をもっています。
例えば,「攻撃的・衝動的」タイプの児童生徒は,教師の高圧的な態度に過剰反応しやすく,暴力行為に及ぶことが多いといえます。しかし,心の中では教師に本当の気持ちをわかってもらいたいという思いもあり,反抗と甘えといった両価的な感情の間で激しく揺れ動いている状態であるといえます。
また自分より弱く,劣っていると思われる者に対する暴力や器物破損は,自己の劣等感を隠すための『反動形成』の現れととらえることができます。
一方,集団による暴力は,罪悪感が薄くなりがちで,残酷さを増す危険性があるので十分に注意が必要です。
(2) 沈静化に向かわせるもの
厳しい罰則や力で押さえこもうとしたり,一人で対応しようとしたりせず,組織として十分に話し合いの場をもち,共通認識に立った指導援助を実践します。
児童生徒とのかかわりを見直す
・ 行為に至った経過や背景の心情面を受け止めながら傾聴します。
・ 児童生徒と真剣に向き合い,よさや長所を自覚できるようにします。教師間の協力態勢を整える
・ 緊迫した場面での冷静な対応(複数の教師によるチームとしての対応等)について日ごろから共通理解を図ります。家庭との協力関係を構築する
・ 親の養育態度等を一方的に責めるのではなく,行為の背景にある心情面の理解の仕方や,かかわり方について共に考える姿勢で臨みます。状況に応じて関係機関と連絡を取り合う
・ 他の児童生徒や教師の安全・人権が侵害されることは回避しなければなりません。状況に応じて警察等と連絡を取り合うことが必要です。