実践のための学校教育相談ハンドブック-047/083page
9 喫煙・飲酒 〜何がたばこや酒に向かわせるのか〜 (1) 何がたばこや酒に向かわせるのか
未成年者の喫煙・飲酒は,一過性の場合と常習化の場合とがあります。
一過性の場合は,大人社会への好奇心や誇示が大きな要因といえますが,常習化の場合は,不満やストレスのはけ口が主な要因となっていて,そこに友達付き合いや家族関係など様々な問題が複雑に絡んでいます。最近では,学年や学級規模の集団で,学校行事後に「打ち上げ」と称して集まり,喫煙や飲酒が行われる風潮も見られるなど,中・高校生の規範意識の低さが問題となっています。こうした現象の背景には,たばこや酒は許される範囲のものという判断の甘さとともに,自分たちの気持ちを受け止めてもらえないことへの不満や不信感,さらには大人社会への反発などがあるととらえることができます。
(2) 規範意識をどう育てるか
まずは,児童生徒のものの見方や感じ方をありのままに把握し,気持ちの理解に努めます。それから,「なぜ,未成年者の喫煙・飲酒が禁止されているのか」「たばこやアルコールが心身に及ぼす悪影響は何か」「自分の意思で『吸わない飲まない』を決定し,実行するにはどうすればよいか」等について児童生徒の立場で共に考え,根気強く,計画的・組織的に指導援助を進めることが大切です。
学校行事や生徒会活動による実践
・壁新聞,資料配布,集会活動,アンケート等学級・クラスを単位とした取り組み,授業
・友人からの誘いを断るスキルの学習,パネルディスカッション,ディベート,ビデオ視聴,喫煙人形による実験等
一方,家庭には学校の取り組みに対する理解と協力が得られるように,日ごろから便り等による啓蒙を行います。「監視や干渉,放任」ではなく,本人と向き合いながら親子や家族の問題として考えることができるように根気強くかかわっていきます。