実践のための学校教育相談ハンドブック-048/083page

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 10 万引き 〜スリルと愛情を求めて〜

(1) スリルと愛情を求めて

スリルを楽しむかのように,『ゲーム感覚』で行う万引きが増えています。特に,最近では,「この子が……」と思われる児童生徒までしていることが少なくありません。背景としては,学習上のつまずき・挫折,家庭の問題等による日常生活上のストレスが要因の一つと考えられます。また,万引きの動機としては,親や教師の関心(愛情)を得ようとしたり,仲間集団の力関係で強制されたり,仲間内での地位や承認を得ようとしたりするなどが考えられます。こうした行為が一過性のもので終わるか,常習化し他の問題行動と結びついて深刻な問題に発展するかは,初期の対応がポイントになります。

指導援助に当たっては,一見同じように見える行為でも,児童生徒一人一人の背景や状況が違うことを心に留めてかかわることが大切です。

大事な時期の対応(2〉 大事な初期の対応

万引きの指導が難しいのは,学校に情報が入りにくく,実情を把握しにくいからです。警察やスーパー等から連絡を受ける場合,必ずしも初回の行為とは限りません。そのため,ふだんから万引きに対する予防的な指導が重要といえます。また,初回でなくとも,比較的初期の場合は,次のような態度でかかわることが大切です。

行為そのものが絶対に許されないものであることを理解させる。
どうして行為に至ったのか,心情や背景をよく傾聴する。
自分の行為に対してどのような責任がとれるか,本人と一緒に考える。
謝罪や弁償などを行わせ,心から反省させる。その上で,もう一度善悪の判断についてしっかりと話し合う。

なお,校内では『万引きをした児童生徒』というレッテルを貼って,よくなろうとする芽まで摘み取らないように,温かく見守りながら援助したいものです。また,家庭に対しては,親が本人とじっくり話し合うことや,親の役割・父親の出番などから家族関係の見直しを図っていくことを促すことが大切です。


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