実践のための学校教育相談ハンドブック-050/083page
12 深夜俳徊・無断外泊 〜心の居場所を求めて〜 (1) 心の居場所を求めて
思春期の児童生徒は,家族との親密な関係を求める一方で,程度の差こそあれ,親に反抗したり家庭から独立・自由を求めたりします。
特に,両親の不和,過保護・放任・兄弟姉妹間の差別的扱いといった親の養育などから,家庭を『心の居場所』とすることができない児童生徒の多くは,癒されない心の傷や埋め尽くせない寂しさの代償として,簡単に自分を受け入れてくれる仲間を求めて,夜の『溜り場』に入り浸るようになります。
さらに,このような状況が続き,不安や不満,葛藤等が増大すると,ちょっとしたきっかけ(親や教師の叱責,友人関係のトラブル,金銭入手,仲間からの誘い等)から,無断外泊へと発展するケースが見られます。
(2) 学校や家庭での居場所づくりのために
深夜排徊や無断外泊をする児童生徒は,学業不振,進路への不安等の問題を併せもっていることが少なくありません。また,これらの行為は,喫煙・飲酒,万引き,性非行,薬物乱用等様々な問題行動へと発展するおそれがあります。そのため,児童生徒への指導援助としては次の点に配慮し,かかわっていくことが大切です。
○ 児童生徒が,自分の家庭をどう感じているかを把握する。
○ 所属感,自己存在感を高める日常の指導援助を心がける。
○ 日ごろからきめ細かな観察を行い,家庭と連絡を密にする。また,家庭に対しては,日ごろのかかわりに対する親自身の気付きが促されるように親の気持ちにも配慮し,次の点について話し合いの場や機会をもち,一緒に考えていくことが大切です。
○ 一方的な禁止や現象面の指導に偏らず,本人の言葉に耳を傾け,本人の感じているものを理解していくためにどのようなかかわりができるか。 ○ 親子の対話を通し,気軽に話し合える温かな家庭の雰囲気づくりや信頼し合える関係づくりをしていくにはどうすればいいか。