実践のための学校教育相談ハンドブック-051/083page

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 13 家庭内暴力 〜親に言えないどうしようもない気持ち〜

(1) 親に言えないどうしようもない気持ち

家庭内暴力は,不登校からの進展,過保護・放任等の養育環境,本人の性格等の要因によって発生するといわれます。例えば,不登校からの進展の場合,長期の家庭内引きこもりの中で,やり場のない不安や苛立ちを抱えたまま,だれにも相談することができず,暴力を振るうことでどうしようもない気持ちを表現しています。しかし,このような暴力の背景にある本人の気持ちや要因は理解されにくく,その場しのぎの対応から,心は傷つき,暴力がますますエスカレートしていく事例が多く見られます。

親にいえないどうしようもない気持ち彼らは,心の奥深くで強い劣等感や孤独感に苦しんでいることが多く,自分をありのままに理解してくれる人を求めています。

(2) 教師にできること

本人と直接かかわる時は,情緒的な安定を最優先にしながら反発や反抗の裏側にある気持ちの理解に努め,訴えようとしているものをわかろうとすることが大切です。さり気ない言葉かけや何か一緒に活動することを通して,うっ積した感情を少しずつ吐き出させ,自己存在感がもてるかかわりを心がけたいものです。

親に対しては,家庭内暴力が学校や周囲に相談しにくい問題であることに配慮し,早期の発見と対応のためにふだんから連絡を取りやすい関係づくりに努め,ささいなことでも親身になって対応していく姿勢が重要です。もし,家庭から初期の段階で相談を受けた時は,次の視点から一緒に考えていくことが肝要です。

本人の甘えや退行した気持ちをどのように受容できるか。
細かい指示や小言は避け,本人の自立性をどのように保障するか。
法外な要求に対して毅然とした態度をとるためにはどうすればよいか。
家族全員で,特に父親はどのようにかかわることができるか。

また,事態が深刻化・長期化している場合は,親または家族だけでも専門機関(医療機関,児童相談所等)へ相談し,学校と家庭,さらには専門機関との間で役割を確認し,連携しながらかかわることが必要となります。


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