実践のための学校教育相談ハンドブック-067/083page
(2) 頻尿 〜トイレが近い〜
「トイレにいったばかりなのに,また…。ちょっとトイレが近いのでは?」と思われる児童生徒を見かけることがあります。頻尿は,頻繁に尿意や残尿感をもよおし,排尿を繰り返す症状です。要因の1つに心理的なストレスがあげられます。例えば,不得意科目の授業の開始時や,自分の出番が近くなってきた時,おもらしを経験した子供が,同じ失敗をしないようにといった不安や緊張が原因となって起こると言われています。
「行きたく注意や叱責を控え,なったら,いつでも行っていいよ。」とそっと言って,安心させます。日ごろから,本人が抱えている不安や心配事を聴いてやり,友達にあまり気付かれないように,トイレに行けるようなところに座席を設ける等の配慮にも心がけたいものです。
(3) 過呼吸症候群 〜周囲の人が動揺してしまう〜
過呼吸症候群は,心理的なストレスやショックにより急に息を吸い過ぎるため,血液中の酸素の量が多くなり,息苦しさや動悸,手足のしびれ,全身のけいれんといった身体症状が起こるものです。このような状況になると,本人も周囲の人も動揺し,パニック状態になりがちです。
過呼吸症候群は,10代から20代の若い女子に多く,また中学生や高校生では集団的に発生することもあります。原因は激しい運動や発熱などの身体的要因と,いじめや失恋,受験など様々な心理的ストレスが考えられます。
過呼吸は,軽い自律神経の発作なので,過呼吸が起きてもしばらくすると回復します。発作時には,このことを本人に伝えるとともに,酸素摂取量を抑えるため,紙袋またはポリ袋を口にあてて呼吸をさせると,次第に落ち着き,平常に戻ります。家族や教師など周囲の人は,騒いだりせずに冷静に落ち着いて対処することが重要になります。
発作が治まった後の対応は,本人の心理的なストレスを軽減するなどの援助をしていきます。さらに,念のため,専門医で検査を受けることも勧めます。