実践のための学校教育相談ハンドブック-073/083page
「実践のための学校教育相談ハンドブック」発刊に寄せて
福島県立医科大学附属病院神経精神科副部長 星 野 仁 彦
この度,県教育センターの教育相談部の諸先生方の御努力により,「実践のための学校教育相談ハンドブック」が刊行されたことは,誠に時宜にかなったものであるとともに,教育相談に携わる先生方の切なる二ーズに応えたものであり,大変喜ばしいことと存じます。心の問題を抱えた子どもを担当なさっている先生方は,このような冊子の出版を待ち望んでいたことでしょう。本書を御覧になるとわかると思いますが,様々な子どもの心の問題について,具体的な理解と指導の方法が懇切丁寧にわかりやすく書かれています。
また教育学のみならす,心理学や精神医学的な知見に至るまで,多岐にわたる専門的な内容が包括的に記述されています。ここまで深く掘り下げて執筆なさった先生方の造詣の深さに改めて敬意を表したいと存じます。
さて,よく言われることですが,子どもの心の問題の理解と指導・対応にあたっては,医師やカウンセラーと教師の連携,即ち医教連携が重要であるとされています。しかし,教育の現場を見ると,様々な障壁があって,必ずしも円滑に進んでいないことがあるようです。
この点では県教育センターの先生方は,当大学主催の研究会に毎回御出席下さり,活発に討論に参加していらっしゃいます。また実際の教育相談に際しても,単々,専門機関と緊密な連携をとって指導されています。今回このような素晴らしいハンドブックが完成したのは,先生方の常日頃の御研鑚の賜物であろうと思っております。我々病院内で診療に携わる者にとって,特に難治療の心の問題の治療にあたっては,医師,看護者,臨床心理士,ケースワーカーなど,多業種のチームアプローチが不可欠であるとされています。本書では,子どもの心の問題に対する「校内のチーム指導のあり方」についても触れられています。
また「保護者との連携」の方法も詳しく説明されています。本書はこれらの点でかなりプラクティカルなマニュアルと言えますので,先生方に明日からでも早速実践なさって,心の問題の早期発見,指導に活用される事を期待します。
(不登校研修講座講師)