研究紀要第23号 幼児教育の研究 公立幼稚園における心身障害児の実態調査および人物画テストによる性格診断の考察 - 011/015page
表8 実例Tおよび実例Uの採点表とそのI・Q算出
T U T U T U T U T U 1 + + 11 − + 21 − + 31 − + 41 − − 2 + + 12 − + 22 − − 32 − + 42 − + 3 + + 13 + + 23 − − 33 − − 43 − − 4 + + 14 − + 24 − − 34 − + 44 − − 5 + + 15 − + 25 − + 35 − − 45 − − 6 + + 16 − + 26 − + 36 − + 46 − + 7 + + 17 − + 27 − − 37 − + 47 − + + + 18 − − 28 − + 38 − + 48 − − 9 + + 19 − + 29 − − 39 − + 49 − − 10 − + 20 − − 30 − − 40 − + 50 − −
9 10 1 8 0 4 0 8 0 3
〔説 明〕
実例T,Uでは,+(プラス)の計が,10と33でこれをT,Uの総得点とする。
この総得点を表6により精神年齢に換算すると,○実例1 総得点=10 生活年齢(CA)=4:6=12か月×4+6 精神年齢(MA)=4:10=12ヵ月×4+10
○実例U 総得点=33 生活年齢(CA)=10:6=12ヵ月×10+6 精神年齢(MA)=9:7=12ヵ月×9+7
(2) コピッツ法
この方法は,子どもの発達的な面,情緒的な面および脳損傷の有無を知ることができる。実施の方法は,グッドイナッフ法と全く同じで,一枚の人物画が,この二つの方法に使用することができるすぐれた面を有している。コピッツ法では,コーピッツの採点票を用いることが必要である。
@ 採点票
期待項目とは,幼児・児童の発達段階からみて,人物画に出現が予想されるものであり,欠けている項目の1項目ごとにマイナス1点を与える。
期待項目の欠如は,診断的に意味があり,精神的未成熟を意味するようである。異例項目とは,標準以上の精神的成熟を示しており,知能に関係がある。異例項目の出現は,プラス1点を与える。
なお,情緒指標の解釈は14ページにあるので参照されたい。
例1
氏名 K・Y 性別 男 年齢学年 7歳3ヵ月
小 2 I.Q WISC
64 主訴知能のおくれ,言葉のおくれ H・F・D所見脳損傷と情緒障害をともなった児童の描画である。この情緒の混乱は,パーソナリティーまたは,神経系等の不安定から,攻撃的な行動を示していると思われる。 A 採点方法
○表9発達項目一覧表により,期待項目をチェックする。上の人物画では,期待項目,異例項目ともチェックするところが少なく,姿の奇妙さが目立つように思う。
○H・F・D得点 上の例T図の採点では -1+0+5=4となり,知能水準は,平均下から平均ということになる。
○情緒の指標は,表10に基づいて行われる。