研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 007/082page

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1.ねらい

 この研究では,説明的文章の読みにおいて,児童は,どんなことを手がかりにして,要点をとらえようとしているのか,どんなすじみちで考え,どこでつまずくのかを,明らかにしたい。またそれらの要因に即して,対策を工夫し指導法の改善をはかりたい。

(1) 要点について

 ものごとを理解するにしても(読むこと,聞くこと),大事な点はどこか,どんな意図か,的確に知ることは,極めて大切である。また,何かを表現する場合でも(書くこと・作文,話すこと),要点を明確にわかりやすく述べることは,特に身につけなければならないことである。

 読むことの能力には,文に即して正確に読む力,読む目的にそって,必要な事項を読みとる力,要点を抜き出したり,要約する力,文章の要旨をつかむ力,段落をまとめてよむ力,段落と文章全体との関係をおさえる力,等があげられるが,要点をおさえて読む力は,これらの読みの能力の基盤になるものである。

(2) 要点についての考え方

 要点は,「大事なところ」とか「主要なところ」「急所」などという意味で使われている。何をもとに,要点とするかについては,三つの面から考えられている。

 @ 読み手の立場から
 A 書き手の立場から
 B 文章に即する立場から

 ここでは,Bの文章に即する立場からの「要点」のは握を中心に研究していく。そして,小学校の三年児童を対象とし,段落の要点のとらえ方について,児童の実態を授業を通してさぐっていくことにする。

(3) 要点をとらえる能力の系統

 要点をとらえる力は,つぎのように段階的に
指導されることになっている。

@ ことがらの,だいたいを読む。
 ・語や,文として読む。
 ・だいたいのすじをとらえる。
A ことがらの,順序を読む。
 ・書いてあることの概略を読みとる。
 ・表現に即して読みとる。
B 文章の要点を正しく読みとる。
 ・重要な部分はどこか理解しながら内容を読みとる。
 ・文と文との関係をとらえる。
  (例とまとめ,結論と詳述,問題と結論,事実と意見,本論とつけたし,など)・要点に特に深い関係のある語句や文を確実に読みとる。
C 段落ごとの要点の相互関係をつかむ。
D 文章の要旨を理解しながら読む。
E 読む目的や文章の種類,形態などに応じて適切によむ。

Bの,三年での要点をとらえる学習が,きめ手になるものである。

(4) 前提と考えられる能力

 要点を正しく読みとるための前提となる能力には,次のようなものがあると考えられる。

@ 各文の正しい読み
(ことがらの読み,話題の抽出,何が,どうだの読み,中心語句のは握など)
A 段落の話題をとらえる力
B 文と文との関係をとらえる力
(指示語・接読語について理解する力)
C 中心文をおさえる力

(5) 要点は握の困難点

 要点をは握する場合の困難点を次のように予想してみた。(これは,教材の難易に左右されると考えられるが,主として,児童の側を対象として)

@ 「要点」というコトバの受けとり方
 このコトバを,くだいて,児童に説明したり


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