研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 008/082page

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する場合。
A 「中心文」を見きわめ,それをもとに要点をとらえる場合,「中心文」というコトバや何もとに,「中心文」と決めるのか。
B 具体的なことがらを強く意識して,要点へ関心がむかない。
C 一文一文を分析的に読みとることがむずかしい。
D 中心文をとらえても,それから余分なものをけずりとることがむずかしい。
E 説明されていることがらをとらえない。ことがらとことがらのつながりに気をつけない。
F まとめている文,例をあげている文,つけたしている文,理由をのべている文などと意識して読みすすめるが困難である。
G 中心語句のとらえ方が容易でない。
 以上のことに留意して,以下の研究をすすめたいと考える。

2.対象

   福島市内小学校  3年生

3.指導の実際

(1) 教  材

  「記号とことば」(3年下)

(2) 概  観

@ 教材観

 教材「記号とことば」は,「記号の意義」,「記号の種類」および「ことばと比較した記号の特色」について説明している文章であり,11の形式段落から成っている。

〈第1段落〉
 この段落は,学校のろう下で,図書室のあり場所を聞かれた場合どうするか,という具体的な場面限定による書き出しになっている。これは,とりつきやすさやわかりやすさを配慮したものであろう。しかし,指示語がいくつも出てきて文章をやや複雑にしている。
 具体的な場面を書いているので,中心文を選び出すことはむずかしい。「さしたり,言ったりして教える。」ことがわかればよいであろう。

〈第2段落〉
 「けれども」ではじまるこの段落は,第1段落の「さしたり,言ったり」に対するものとして,「はり紙(やじるし)」をあげ,3の文「つまり,このやじるしは,図書室へ行くにはどう行けばいいかを表しています。」で記号の抽象的な定義づけへの橋渡しをしている。
この3の文を,前との関連で十分読みとらせることが,次の段落の抽象的な記号の定義の読みとりを容易にするのではないかと思われる。

〈第3段落〉
 1文1段落で,「記号の定義」を述べているこの段落は,第1段落,第2段落をまとめており,いわば,意味段落における中心段落である。
 抽象的なことばでまとめているので,「このように」という指示語に注意させて,第1,第2段落と関係づけたり,「物事」の意味を具体的にわからせたりして,この要点をとらえさせる必要がある。

〈第4段落〉
 「道路ひょうしきも記号の一つ」と頭括式の書き方をして,次の第5段落の具体例につないでいる。第4〜第8段落は,記号の種類について述べているのであるから,1の文が要点文といえるが,2つの文の「形や色で意味を表す」ことは,道路標識のみならず記号全般の特徴の一つと考えられるのでふれておく必要がある。

〈第5段落〉
 第4段落で述べている要点の具体例として4種類の道路標識をあげている。4つの文の文末表現(教えています→表しています→意味です)の変化に目を向けておく必要が


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