研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 011/082page

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 既習の漢字については,1・2の例外を除いてよく読めるようである。

 既習の漢字で正答者数の少なかったのは,「意味」「通う」「図書室」などである。「意味」は「意見」との混同が多かった。これは,味と見の読み方が同じところからくるのであろう。また,「図書室」は「ずこうしつ」や「としょかん」など,ふだん校内で見ている表示と似ているので,うっかり読みちがえたものであろう。

 しかし,「意味」を「いけん」「図書室を「ずこうしつ」と読んだのでは,文章内容も誤った読みとりをしてしまうことになる。似ていて読み誤りやすい語句は注意して指導する必要があろう。

 新出,読みかえ漢字は,さすがに正答者数が少なかったが,「駅」など常に目にふれる漢字や「港」のように他教科の学習の際にでてきた漢字は正答者数が多い。反面「等しい」など,児童の日常の生活語になっていないものは読めない。

 ただ「短く」は「かみの毛を短くきる」という文で提出したので,文派から類推できそうに思えるのだが意外に正答者数が少なかった。文派から類推して読む力の不足であろうか。

(イ) 段落の中心語句,中心文の読みとり

 表 2

(1)

(2)
(3)





中心文
@段落の前に
 ある場合
A段落の後に
 ある場合
B段落の中ご
 ろにある場合
正解
者数
16
18
14
28
17
 
22
20
24
10
21

 中心語句,中心文の読み取りで,中心文が段落の後にある場合を除いて,いずれも正答者数が半数以下であった。

 まず,「中心語句」の選択では,「中心語句」の意味がよくわかっていないための誤りが目立つ。文そのものを書き出したりする者が多い。これは文節意識が十分でないためと思われる。また,中心語句のことを「中心になっている大事なことば(語句)」という三ような表現で質問したのであるが,その意味するところを十分理解できていなかった面もみられる。
こうした中心語句選択以前の問題にも配慮しなくてはならない。

 中心語句は「植物の動き」であるが,段落を構成する3つの文のそれぞれに,「動く」ということばが1〜2ずつ出ている。このように再三出てくることばは段落の中心になる語句であることをわからせる必要があろう。

 次に,「中心文」の選択であるが,正答率は47%である。正答者について,なぜその文が大事だと思ったかを調べてみると,直感的に,「大事だと思った」というのや「ねむるから」という,たれ下がる理由をあげているものなどが多く,「葉をたたんでたれ下がる」という「動き」に目をつけている者は少ない。これは,この文章が「植物の動き」について書いてあるのだという意識で読んでいないためではないかと思われる。

 第1段落は文章全体をまとめている段落であるが,この段落の中心語句「植物の動き」の正答者は,その具体例をあげている第4段落の中心文をとらえているかどうかその関連をみてみた。

 表 3

正答者
誤答者
正答者
10
6
誤答者
8
14

 これを見ると,ある程度の相関が出ている。従って,各段階の中心文を選ぶ際には文章全治を通っている書き手の意図を見通し,その


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