研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 012/082page

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視点から選ぶことが大切であることをわからせる必要がある。また,文相互の関連にも目を向けさせる必要がある。

 次に,中心文が段落の中のどの位置にあるかによって,中心文の選び出しに見られる差についての実態である。
表2のとおり,

 @ 後にある場合   (正答率74%)
 A 中ごろにある場合 (正答率45%)
 B 前にある場合   (正答率37%)

という結果である。

 一般的には,最後→最初→中ごろという順に正答率が分布するといわれているが,それとちがった結果が出たのは,文章の難易にも関係するので一概に学級の実態が特殊であるとは言えない。ただ,中心文が最後にある場合の正答率が他と比べて目立って高いのを見ると,後ろにある場合が最も見つけやすいと言えるのかもしれない。
 なお,文意識が低い者がかなりいることにも留意する必要がある。

(ウ) 文章の概略の読みとり

 これは,事柄の読みとりとも言えるものであるが,質問は,「この文章にはどんな植物について説明しているか」というものである。
 4つの植物の名まえがあげられればよいのであるから,高い正答率が予想されたのであるが,結果は,表4のとおりで意外に低かった。

 表 4

4

3
2
1

0

正解者数
8
4
1
4
21

 4つの植物名のうち,3つはそれぞれの段落の最初に出ているのであるから,正答数が0の者が21名もいるのはおかしい。それであとから児童に聞いてみると,質問の意味がよくわからなかった者がかなりいた。

 それにしても,一つ〜3つを答えている者は,質問の意味がわかっているのであるから,やはり,文章全体を見ないで答えていると考えるしかない。正答数が3つの者はすべて「おじぎそう」をおとしているが,これは,他の3つが,いずれも段落の最初に名まえがでているのに対し,「おじぎそう」は,「ねむのきのなかまのおじぎそうは………」と修飾語がついて段落の最初に出てこないので,見落としたものであろう。こうしたつまずきにも気を配らなければならない。

(エ) 指示語・接読語の理解

 説明文には,指示語・接続語が数多く出てきており,指示語の指示内容をとらえることができるか,接続語を理解し,文,あるいは段落の接続関係をつかむ手がかりにしているかどうかは,要点の読みとりにも大きく影響するものと思われる。

 表 5

指示語
接続語
(1)

(2)

(3)

(4)



(1)


(2)



正答者数
13
5
24
19
26
29
誤答者数
25
33
14
29
12
9

 まず,指示語についてみていくことにする。指示する内容を的確にとらえていない者がかなり多い。
 指示語の指示内容の多くは,その指示語よりも前にある。ところが,誤答を見ると「あれは何だろう。」の「あれ」の指示内容を「何だろう。」と答えた者が7名,こいのぼりと答えたもの11名,「それはこいのぼりでした。」の「それ」の指示内容を「こいのぼり」と答えた者が21名もいる。つまり,指示語の次にある語を指示内容と考えているものが多いということである。

 これは,指示語の機能をよく理解していないためであろう。指示語のところに指示内容を入れて読んでみるというような方法で,そのはたらきを理解させなければならない。
 この問題では「あれ」と「それ」は,同じ内


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