研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 016/082page

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(5) 指導の記録

@ めあての確認

T1 前の時間で,文章全体を大きく3つに分けたね。どのように分けましたか。
C1 最初は41ぺージの6行目まで
C2 2番目が,43ぺージの8行目まで
T2 あとは最後までだったね。
   きょうは,一番最初のまとまりのところを勉強します。
   きょうのめあては,これです。(めあてを書いた小黒板提示)読んでみましょう。
C3 記号とはどういうものかを読みとりましょう。

 ここまでは,前時の復習をし,本時の学習範囲を確認したのち,本時のめあてを確認しただけで,特に要点は握に直接結びつくものはない。前時において,11の形式段落を3つの意味段落にわける際,第1意味段落と第2段落の切れ目をどこにするかでいろいろな意見が出た。結局,第4形式段落からは道路のことが書いてあるので,その前の段落とはちがうということでおちついた。
 第2意味段落と第3意味段落の切れ目は,「ところで」という接読語があって話題がかわるところだということで簡単にきまった。
 本時では,これらの確認のため,T1の発問が出たわけである。
 本時のめあては,「記号とはどういうものかを読みとりましょう。」という,いわぱ内容追究のめあてであり,「要点は握のしかた」という技能追求のめあてではなかった。したがって,児童は,「要点は握のしかた」の学習という意識はないままに,学習が進んでいったと考えられる。

A 学習方法の明確化

T3 どんなところに気をつけて読みとっていけばよいでしょう。
  (間)
C4 大事なことを読みとればいい。
T4 大事なことってどんなこと?
C5 ……
C6 記号のこと。
T5 題目が「記号とことば」だから,記号に気をつけて読んでいこうと思ったんだね。
   きょうのめあてからみて,大事な文はどれか考えながら読みとっていきましょう。
   その前に,「文」というのはどういうものだったか復習しておきましょう。文というのは,終わりに「。」がついているんですね。

 今までの学習の進め方でやったので,めあての次に学習方法を聞いた。しかし,どういう方法でやっていいかわからず,しばらく間があった。物語文などでは,すぐ出てくるのだが,説明文の学習方法はよくわかっていない。「大事なことを読みとる」と答えたのは,単元名の「大事なことをはっきりと読みとろう」から考えついたのであろうが,これは,目的であって方法ではない。結局,どんなところに気をつけて読んだらいいかわからなかったわけである。
 「文」とはどういうものかについてふれたのは,前提調査において,文意識がたいへん低かったからである。

B 中心文の予想

T6 第1のまとまりを読んで,大事な文はどれか読みとってみましょう。そして,ノートに書いておきましょう。
C (黙読,ノート)
T7 第1のまとまりで一番大事だと思った文はどれですか。
C7 「このように物事を表すしるしを記号といいます。」という文です。
C8 そのわけをいうんですが,「このように」がついているからです。
C9 「このように」がついていると,どうして大事な文なのですか。
C10 全体をさしているからです。
C11 わたしには,つまり,このやじるしは,図書室に行くにはどう行けばいいかを表しています。」だと思います。そのわけは,「つまり」ということばがあるからです。


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