研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 017/082page
C12 反対。「つまり」というのは,やじるしということをくわしく言うために使っていると思います。
ここでは,意味段落の中心文を予想させたのであるが,C7のように「このように………」の文をあげた者は14名いた。
これは,「記号とはどんなものか」という本時の課題に対して,「……を記号といいます。」と,直接答えるかたちで出ていることや,第1,第2段落が具体的な例であるのに対し,第3段落の「このように……」の文がまとめているような抽象的な書き方をしていることなどの理由で目をつけたようである。それにC8の発言のように,「このように」という,前に述べたことをまとめるはたらきをする指示語がついていたことも選ぶ理由になったのであろう。
C10の発言は,「つまり」という接続語に目をつけた選択であるが,同じような選択をした者が12名ほどいた。これは,「つまり」という接続語のはたらきと同時に,「つまり,このやじるしは,図書室へ行くにはどう行けばいいかを表しています。」という文の表現のしかたが,それまでの具体的な書き方とちがって半抽象的な説明調でまとめていることの理由もあるのではないだろうか。
こうしてみると,中心文の選択の際,やや抽象的な,まとめを表すような文や,指示語・接続語のはたらきに目を向けているように思える。
C 第1段落の読みとり
T8 みんなの選んだ大事な文が,それでいいかどうか調べていきましょう。
第1のまとまりには,3つの段落がありますが,それぞれの段落には何のことが書いてありますか。読んでみましょう。
C (黙読)
T9 第1段落はまとめていうと,どんなことが書いてあるでしょう。
C13 記号のこと。
C14 学級のろう下で,図書室はどこかと聞かれたときのこと。
C15 人に聞かれたとき,「こちらです。」と指さしたりすること。
C16 図書室に行くにはどう行けばいいか。
C7 図書室を聞かれたら,指でさしたり,ことばで言ったりする。
C18 聞かれた場所のこと。
T10 図書室はどこかと聞かれたときのことだね。
そういうとき,どうやって教えるといっていますか。
C19 図書室の方を指さしたり,ことばで言ったりして教える。
T11 さしたり,言ったりして,その人に教えるんだね。(板書)
その人というのは,だれですか。
C20 きいた人です。
C21 図書室はどこかと聞いた人。
C22 図書室のある場所を聞いた人。
T12 だれが教えるのですか。
C23 わたしたち(賛成)
T13 何を教えるのですか。
C24 図書室のあるところ。
C25 図書室の方角。
C26 図書室のある方向。
C27 図書室のある場所。
第1段落は,図書室のある場所を教えるとき,動作やことばで教えることについて書いてあるが,児童の発言にも見られるように,書いている事柄についてはだいたいとらえられるようである。
「その人」がどの人をさしているかについても表現の差こそあれ,適切にとらえているが,これは,「その人」のように「人」と限定していることや,この段落が具体的な場面でわかりやすいことなどの理由によるものであろう。
「その人に教えるのはだれか」という主語を指摘する問いや「何を教えるのか」という問いに対しても,多くは,正しい答え方をしている。
それが,「どんなしかたで教えるか」という発問に対しては,@さしたり,A言ったりの2つが指摘できないものがかなりいた。これは,文章を最後までていねいに読まずに答えるためや,「……(たり」がつく場合,同格の事柄が続くことを知らなかったためかとも考え