研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 020/082page
(6) 指導の反省
@ 事前調査と事後調査の結果から
教材「記号とことば」の指導前と指導後において,要点をとらえる能力にどのような変容がみられるかを調べた。
ア、調査に使用した文章
A、「鳥よりも速く,鳥よりも高く」
(説明文)
B、「記号とことば」
(教材文)イ、調査時期
事前調査………教材の指導に入る直前
事後調査………教材の指導終了直後ウ、調査内容
(ア) 段落の中心文をぬき出すこと。
(イ) 理由を述べている文,具体例をあげている文を指摘すること。
(ウ) 指示語の指示内容をとらえること。
(エ) 接続語のやくめ。
(オ) 段落のまとめ(2,3の形式段落をまとめる)〔調査結果〕
(ア) 段落の中心文をぬき出すこと。
表 6調査の結果からは,段落の中の中心文をぬき出す力はのびていることがわかる。文章Bは,教材文であるので,書かれてあるる内容についても学習しており,80%台の正答率は当然であるが,文章Aは学習していないので,教材の学習によって得た力を応用したと考えてもよいのではないかと思われる。
中心文を選ぶ際,段落のどの辺に目をつけているかを,文章Aについてまとめてみると,表7のようになった。つまり,指導前においては,段落のどの文にも,平均して散らばっていたが,指導後においては,段落の最初か最後の文に目を向ける者が多くなった。中心文をとらえる手がかりを活用したのであろう。ただ,これが,機械的に前か後の文を選ぶようになってしまう危険性もある。事実,の段落ではそういう傾向もみえるので注意して指導しなければならない。
(イ) 理由を述べている文,具体例をあげている文の指摘。
表8
理由 具体例 事前 20 34 事後 28 36埋由や見体例を述べている文を,中心文と区別することができるかを,文章Aについて調べてみた。
表8は,正しく指摘した者の数を表したものである。
事後の方がいくらか多くなっているが,具体例の指摘は問題がやさしかったせいか,事前のときから正答率が高く,あまり大きなのびはみられなかった。
ただ,具体的なものの指摘はできるが,具体的な事柄になるとあまりよくできな