研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 021/082page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

い。
 理由の指摘は,「……からです。」のような理由を示すことばに気をつければとらえやすいはずであるがその点を教材では直接指導していなかったので気づかなかったのかも知れない。

(ウ) 指示語の指示内容をとらえること。

表9
A
B
(1)
(1)
(2)
正答者数
21
34
22
31
17
28

×→○

13

13
14
×→×
4
3
6
○→○
21
18
14
○→×
0
4
3

 事前においては,指示内容を指示語のすぐ後のことばから選んだり,指示範囲を的確に指摘できず,長々と書いたりすることが多かった。これは,指示語のはたらきを具体的に指導していなかったためと思われる。そこで,教材の指導においては,できるだけ,いくつかの例をならべて指導する方法をとったりした,その結果は,表9のととおりである。
 ×→○は,事前に誤答だった者が事後に正答になった場合を表すが,どの問題でもそれが十数名見られたことは,指導の効果があったと考えられる。
 ただ,指示内容が長かったり,抽象的な事柄だったりすると,的確な指摘はまだ困難なようである。

(エ) 接続語のやくめ

 表10指示語と同様,指導の効果は見られるが,指示語ほど顕著ではない。
 A(1)は,「けれども」がどんな場合に使われるのかを聞いたものであり,A(2)は,文中の□□にそう入する接続語を選択するものであるが,どちらも正答率はあまり高くならなかった。特にB(1)は教材として学習したわけであるから,もっと正答率が高くなってもよかったわけであるが,あまりのびないところを見ると,指導に手落ちがあったとも考えられる。
 また,接続語を選ぶ際には,その前後をよく読んで,内容を全体的に理解する必要があるが,その辺に指導のポイントがあるようにも思う。

表10
A
B
(1)
(2)
(1)
正答者数
25
33
20
27
13
23
×→○
11
11

12

(オ) 段落のまとめ(要点)

 2〜3段落の内容をまとめて要点をつかむことは,意味段落にまとめ,文章の構造を調べていくために大切なことである。

表11

A

B
正答者数
5
17
14
22
×→○
14

11

×→×

19
11
○→○
3
11
○→×
2
3

 学級全体で見ると,かなりののびは見られるが,それにしても,事後において半数程度の正答率であるということは,3年生としてはかなりむずかしいことを表すものと思う。
 特に,下位群と見られる事前に誤答の者が事後においても誤答であることが多い点に注目する必要がある。
 これは,その前段階として,段落の中の一文一文をていねいに扱い,段落の中心文をはっきりさせる学習を積み重ねた後に,


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。