研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 022/082page

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段落に共通することを見つけていくような手順をふむ必要があるように思う。

A 指導法をふり返って

 事前,事後調査の結果をまとめてみると,ある程度ののびは見られたものの,その反面次のような点に手落ちがみられる。
 ○ 学習の進度に気をとられて,じっくりと一文一文を見ていくことをしなかったこと。
 ○ ことばの意味についての指導が十分でなかったこと。
 ○ ことばの読み誤りによる意味のとりちがいをふせぐ手だてを講じなかったこと。
 ○ 指示語や接続語のはたらきを一般的におさえはしたが,具体的な指導がたりなかったこと。
 ○ なぜ,それが要点なのかという理由を明らかにする指導が十分でなかったこと。即ち,直感的に読みとった要点を,確認訂正するための分析的な読みの指導の不足。

 これらの点に配慮した指導を進めることによって,要点は握の力はさらにのばすことができると考えられる。
 事実,なげこみ教材で,段落の中の一文一文をていねいに扱い,@一文ごとの要点をとらえる。(一文の中の主述関係をおさえ,中心となることばを選ぶ),Aいくつかの文の中から,中心となる文を選び出す(文の相互関係を考えて)という手順をおって学習を進めた結果,児童の理解が深まり,中心文を選び出すことがたいへんよくできるようになった事例の記録も持っている。
 指導技術,指導形態的な面からは,もっと個人やグループに焦点をあてて,ひとりひとりの実態をつかみ,個々の力をのばす努力をしなければならないことや,グループ活動による,児童相互のねり上げを大切にしなければならないことも反省される点である。

 また,要点は握の学習を,話し合いだけにたよるのではなく,板書やOHPの活用,作業学習の取り入れなどによって,いっそう効果的に進めていくことも大切である。
 発問の精選と一貫性,考える間の設定なども忘れてはならないことである。

 なお,要点指導の際の教材文の選定であるが,初期においては,各段落の中心文のはっきりしたものを選び,基本的な要点は握のしかたをしっかり身につけさせることが大切である。1つの題材の中でも,中心文のとらえやすい段落やとらえにくい段落があるので指導の際配慮したい。

B 児童の感想から

ア 「その」とか「あの」などがどんどんわかり楽しくなりました。
イ 「このように」がつく文は,みんなをまとめているから大事な文だということがわかった。
ウ よけいなことばをとっていくと,だいじなことがわかる。また,ひとつひとつの文がどういう文が考えると,大事な文やまとめている文がわかる。
エ 大事なことは,前か後ろに書いてあることがわかった。大事なことばを見つけるのがおもしろくなった。
オ 大事なことをまとめるのがむずかしい。
カ 長い文をまとめることがむずかしかった。
キ ことばの意味がよくわからない。
 児童の感想は,思いつきのようでいて,なかなかポイントをおさえている。

C 授業について

 子どもの実態との関係においての教材研究を深くしておくことと,子どもの「要点は握」についての困難点解決のための手だてや,補助教材などをもっと意図的・計画的に用意しておけぱよかったと考えている。
 なお,子どもひとりひとりの反応,何についてどう読みとっているのかを適確にと


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