研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 024/082page

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● はり紙をみて,やじるしのさす方へ,教えられなくても行けるだろうということ。(推論している)
● やじるしは(上記のような行動をとらせるのであるから)図書室への行き方を教えていること。つまり,前の段落での,「あちらです。」「このろう下のつき当たりです。」「と,ことばで教えるのと,同じ役目をしていることを読みとる。

 この場合,アでの語句の意味がはっきりわからないときには,文脈で推測することになる。正しい推測でないこともある。また,そのことばをとばして文の意味をとらえることもある。
 ここでは,ひとつひとつの文が,何について,どう述べてあるか読みとることが主である。

 A子は,一文一文の内容を読みとる場合つぎのようなことに目を向けている。例えば,
<むかしの人は,深海には魚はいないと思っていました。>の文の読み(深海にすむ魚)では,「どうして,いないと思ったか」と,理由を知りたいと書いている。(深海の二字,読めない)

また,
<目のつき出たものなどもいます。>の文では,「どんなふうにつき出ているのか」と,くわしいようすを知りたいと書いている。(目がつき出ているんだな。どんな魚なんだろう。どのように目がなっているのだろう。)と,気にしているのである。

 それで,本時の学習文の読みでも,@の文では(どんなはり紙かな。さし絵に出ているのだな。)Aの文では,(やじるしがあると,わかるのだな自分らの学校には,はってないな。)というふうに内言をしながら読みすすめるだろう。そして,説明されていることがら,具体的な事実にもっぱら関心を持つだろう。A子は,ここまでは,あまりつまずくこともなく,できるのではないかと考えられる。

ウ、文と文との関係を読みとる。
 ここでは,文と文を単に,られつしてあるものとしてではなく,重みづけをし,構造的には握する能力が必要となってくる。そこで,当然,接続語や,指示語へ目をむけなければならない。
 例えば,この文は前の文へのつけたしである,前の文の具体例をあげている,結論をのべている,くわしく説明している,意見をのべている,理由を書いている,というようにおさえていくことである。

 まず,@の文では,「けれども」で,前の段落との関係をとらえる。つまり,だれかに図書室はどこかと聞かれた場合,ここでは,直接きかれず,「はり紙」がしてあったらと,仮定して話をすすめているのだと読みとる。Aの文では,@の結果を述べている。Bは,@Aを受けて,やじるしの働きをまとめている。Cは,このように(やじるしが,図書室への行き方を教えるように),物事を表すしるしを記号というのだと定義していることを理解していく。ことがらの読みだけでなくそれを基にして関係をとらえることである。
 A子は,接続語・指示語については,つぎのような理解のしかたをしている。

 接続語
 「けれども」を,空らんに入れる問題,事前テストで正答し,事後テストで誤答となっている。
 「ところで」という接続語はどんなとき使うかという問いに対し,「前と同じような話をつづけるとき」に○をつけている。事後テストでは,「話をかえるとき」に○をつけている。このことから,A子は,接続語についての意識と理解はまだよくないと言える。

 指示語
 「その人」は,だれをさしていますか,という問いに対し,事前テストでは,「図書室をきいた人」と,一度消して書き直している。事後テストでは,「図書室のばしょをきいた人」と,しっかりした答えになっている。「それ」は,何をさしていますか,の問いには,事前・事後とも正答であった。指示内容の読みとりは,かなりできることがわかる。から,文と文の関係をとらえるときに


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