研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 027/082page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

大事な点をまとめることになる。(要約すること) そのほか,要点と細部との関係を読みとる仕方も学習することも大切にしたい。

(2) 反省と課題

 要点は握の学習を展開するにあたっては,次のような点に気をつけていきたい。

@ まず,その文章が全体として何を述べているかを読みとることである。つまり,全体としての話題をとらえることである。これは,題名とのかかわりが深いことに注目したい。つぎに,各段落の話題の読みとり,ことがらの読みとり,文の関係,重みづけ,要点,細部の読みとり,表現の形へと目を向けていくのがよいと思われる。

A 読みの目標を具体化すること。
 学習の目標をできるだけ具化しておくことが大切である。到達させたい目標,そのために必要な能力,更に,その前提となる力など,三つのレベルぐらいにこまかにとらえ,関係づけておく。そして,子どもの要点をとらえるすじみちを予想し,ひとりひとりの子の読みの実態を考慮して授業を組み立てる。しかも,子どもの動き,反応をよくみきわめ,授業計画を修正しつつ目標に迫るようにしたいものである。

B 書いてあることと,書いてないことをはっきりさせること。
 文章は知らせ,理解させるものとしてのみとらえず,それ以外のことは,知らせない,時には「隠す」はたらきもあることを念頭において教材にあたりたい。また,子どもにとって,読むこと(要点をとらえる)は,つまずきやすい困難なしごとであることを十分配慮して,授業を展開するようにしたい。

C 読む時間を多くすること。
 「読む力」をつけるためには,実際に「読んでいる」時間を多くすることが肝要であろう。わずかの時間読ませ,読みとったことのたしかめや,話し合いによる読み深めに多くの時間をとるよりは,ひとりひとりに読みひたらせる学習を多くすべきであろう。文章から離れた話し合いは,できるだけ少なくしたらどうであろうか。

D 子どもを知ること。
 読みの分析の手がかりにしたのは,学習時における子どもの態度,発言,記述したものと,事前・事後のテストなどである。これらのものが,子どもの読みとりの能力をそのまま表しているとは限らないだろう。その間にも,ずれやつまずきがあるにちがいない。そして,つまずきの原因も根深く錯綜しているものと考えられる。また,これらの子どもの反応や調査から,能力形成については,ごくわずかのことしか言えないのである。

 この研究を通して考えたことは,知っているつもりの,子どもについてよく知っていなかったということである。子どもの読みについての日常の学習におけるきちんとしたデータを持つことと,子どもをそのようにしている子どもの背後にあるものまで理解することの大切さを痛感している。子どもを理解し,対策を立て,実施し,その中で評価し,そこから新しい子どもの姿をとらえるというようにくりかえしていくことで力がついていくものと考える。

 参 考 図 書

● 国語科読解指導法細案(3・4年)
● 国語科3・4年のつまずき例と指導
● 読解・読書指導事典
● 国語科研究資料 8
● 教科における学習能力の発達に関する研究(中間報告宮城県教育研修センター)


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。