研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 060/082page

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ると7人分では,何でしょうか。」という問題を提示しての行き方は次の2つある。

とらえる段階@
とらえる段階A
@の行き方だと,0.2×7という立式はすぐできるであろうが,加法や図を使って解く考え方は出にくい。そのためそうした特性をもっている子はついていけなくなる。 Aの方法は,0.2×7を出させないで「集める」や「全体では」という条件を出させて,かけ算でもたし算でも,図でもよいというふうにする。

 この2つのいき方のうち,本単元ではAの方法をとってしらべる段階に,児童の自由さ(条件のもとで)で考えさせていくのである。こうすることにより, ○自分なりの考え方でよいという安心感と自信をも意欲の向上につながる○安心感があるため,いろいろな方法を考えようとするようになる。

(ウ) 児童の能力形成について

◎能力形成の支え
 この小単元における授業における児童の発言はなかなか活発である。特に知的能力の低いC19,C14,C18,C7,などが積極的に恥ずかしがらないで,自分の考えを述べている。それをC10,C12,C14,C20などがカバーするという形ですすめられている。このような学習活動は,「みんなで学習することが楽しいものだ」という気持ちを育てることが学習の基本であるとの共通理解に立った指導の結果である。この楽しさは,児童が学習において,精いっぱい活動し,わからなかったことがわかるようになった,できないところができるようになったという喜ぴに支えられたものである。「ほめられたい」「しかられたくない」などという支配的な要因に支えられた学習は,表面上積極的に学習しているようにみえるが学習者は与えられた課題や,与えられた方法にしがみついて,与えられた目標に向って走っているにすぎないのである。

 しかしこのように楽しいことを基本に,積極的に話し合う態度も,はじめから育っていたわけではない。はじめは,普通一般にみられるように,2・3の積極的な子にリードされ,大部分のものは聞き手にまわっていた。特に能力の低い子は席についているだけであるため授業は低調で,学習意欲なども低いものであった。もち論すじ道たてて考える能力と表裏一体として,すじ道たてて考える態度(いろいろと考え調べてみつけ,確かめられて,一般化された原理や法則をうまく適用する力別には,自分はこう考えるのだとはっきり言える力)の育成もめざしたことは当然である。3年前から,算数を窓口にして,児童の意欲的な活動をねりあげるよう心がけた。そして,その支えとなる「話し合い」や,思考を深めるための指導に努力した。

◎すじ道たてて考えるきっかけ
 私自身の上の事項も含めた授業の反


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