研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 061/118page
えたものもある。設問の意味をよくとらえていないのだろう。
(3)の問題 「みんな」という主語をとらえさせるもの
「きじ」とか,「さる」とか答えたものが,7名いる。これは,個有名詞や,具体的なもので表わされた主語の場合より,「みんなは」,「おともだちは」,「うちの人たちは」などが主語になっているときは,「何が」のとらえ方がむずかしいのである。
誤答人数は多くはないが,「何が,どうした」のか,一文一文,おさえさせるようにしなければならない。B 書いてある通り読む
1・2年の段階では,抜かし読みや,つけ加え読み,生活経験にひかれた読みなどが多いと言われている。
結果を簡単にまとめると次のようになる
書いてあるとおリ読む 問 2 問 3 @ A B としょしつ ゆうぎしつ プール 正 47 36 47 47 46 45 誤 3 14 3 3 4 5「問2」@の「きのうボールなげをしました。」を 書いてないとしたもの3名。これにくらべ,「ボールが あなに はいりました。」を読み落したもの14名。このような,簡単な文章でも,終わりまで注意して読まないのだろう。一つだけ答えて満足してしまうのであろうか。書いてあることがらを,きちんととらえさせる指導が肝要である。
「問3」について
ほとんどの児童が正しく答えている。ただし,「としょしつ」,「ゆうぎしつ」,「プール」と過不足なく答えたものは1名で,他はなんらかの形で,不必要な部分をつけ加えている。「プールがあって,およぐことができます」というふうに書いているものが多い。語のみとめ方が明確になっていないと考えられる。C 主人公のしたこと(行動)を読みとる
登場人物が,どんな行動をとったかを,筋を追って的確によみとることは,主題につながる大事な要素である。「風の子」という童話で,行動の読みについて調べてみた。
◇ つぎの どうわを よんで,「風の子」がしたことに せんを ひきなさい。
風の子
青い空に,白いくもが うかんで いました。くもの上で,風の子どもたちが あそんでいました。
風の子の ひとりが,くもの下を のぞいてみました。
下の町の あちこちに,いままで見たことの ない ものが,立っていました。
「おや,あれはなんだろう。行ってみよう。」
風の子は,ひとりで くもから おりていきました。
風の子の見つけたのは,こいのぼりでした。
こいのぼりは,みんな,だらりと さがっていました。
風の子が ちかよると,いままでだらりとしていたこいのぼりが,いきおいよく およぎだします。こいのぼりの さおの さきのやぐるまも,カラカラとまわりだします。
「わあ,おもしろい。こんどは,あっちのほうへ行ってみよう。」
風の子は,べつのこいのぼりのそばへ 行ってみました。すると,そのこいのぼりも,いきおいよく,およぎだしました。やぐるまも カラカラと まわりだしました。
風の子は,町の空を,東から西へかけていきました。風の子がちかづくと,こいのぼりはみんなおよぎだし,やぐるまも みんな まわり だします。
風の子は大ごえで,くもの上のともだちをよびました。
「おうい,みんなおいで。おもしろいよ。」まとめると,次のようなことが言える。
○ 直接,行動が表現されている文章でも,そうした箇所をすべてとらえることはむずかしいことがわかる。
○ 無関係の箇所を行動だとよみとることがある。