研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 062/118page

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○ 人物の行動の表現とそうでない部分との読み分けは,むずかしい。

傍線を引いた箇所と人数

調査人数 50名

【1】 あそんでいました。
16
【2】 のぞいてみました
32
【3】 おりてきました
33
【4】 ちかよると
22
【5】 行ってみました
23
【6】 かけていきました
31
【7】 ちかづくと
12

【8】 よびました
23
【9】 「おや〜行ってみよう」
11
【10】 「わあ〜行ってみよう」
14
【11】 「おうい,〜おもしろいよ」
11

【12】 カラカラとまわりだします
16
【13】 カラカラとまわりだしました
9

【14】 見つけたのはこいのぼりでした
4
【15】 だらりとさがっていました
3
【16】 その他のところ
15

 上の表は,結果をまとめたものである。

○ 主人公風の子が,直接行動したことを示す,【2】のぞいてみました 【3】おりてきました 【6】かけていきました の正答は60%と高い。
○ 文の中途にある 【4】ちかよると 【7】ちかづくとは,ぐっと低くなる。
○ 行動以外の箇所に 線を引いた児童が多い。
○ 心の中で思ったことと,行動の区別ができない。
○ 「行動」を読みとることは結局,人物が,どこで,何をしたか順序よく,たどっていくことである。
ア 風の子の位置を順序よく読みとること。
 ・ 白いくもの上→あそんでいる
 ・ 下をのぞく
 ・ くもからおりていく
 ・ こいのぼりに ちかよる
 ・ べつの こいのぼりのそばへ行ってみる
 ・ 空を 東から 西へかけていく
イ やぐるま,こいのぼりと,風の子の関係とを読みとること。
 やぐるま,こいのぼりとは,どんなものか理解することも必要である。「だらりとさがっている」「およぎだす」「まわりだす」と,風の子とのつながりを読みとることが大切である。

D 会話から気持ちを読みとる

(問題P.6)

 話しことば,(文)には,話し手の心理・ことがらに対する態度が表れる。それを読みとるためには,「話し手」の確認,話しの内容,話していることがらを通して,そのもとになっている気持ちを推しはかることが必要である。また,話されていることばそのものとともに,話す前後の行動や,話しながらの動作や,話し手のおかれている状況などを関連づけて読みとることも欠かせないことである。
 それで,次のことを調べてみた。「話した人はだれか」,「話したことば(文)にこめられた気持ち」をどうとらえているか。

○ 話した人を読みとること
 会話の場合,だれが話したのか,はっきりさせなければならない。
(1)の問いに対し 6名の誤答である。
(2)の問いに対し,2名の誤答である。このような短い文章で,登場人物も二名しかいないのだから,ていねいに読めばわかるだろうと思われる。にもかかわらず,8名が読みとっていない。文脈から推測してとらえることができないのである。

○ 会話文のよみ
 会話から気持ちを読みとることについて,すこしくわしく考えてみる。

 誰のことばか,その人が,どんな人か読みとること。
 ・「えっ,かっぱ。」は,東京から,お客にきている「おにいさん」のことばである。
 ・東京からお客にきたのであるから,この土地の


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