研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 067/118page
の読み,話した人の読みと,気持ちの読みとは関連があるようである。ただし,漢字の読みとは関連のすくないものもいる。また,例外的なものも見られる。
イ 気持ちの読みは,いつも勝手な読みをするというのではなくて,その時々で変わるようである。
ウ また,これ等の読みは,情意的面,態度的な面とかかわりがあるのではなかろうか。
G 「みかんの木の寺」指導の留意点
―調査をどう生かすか―○ 漢字の指導については,読めなかったものをカードに書いて,さげておく。まとめの段階で書くことを主に指導する。黄色,毎日,楽などは,読みの中で,特にとりあげる。
○ 主語・述語の読み。これは,ほとんどの子ができているので,特にむずかしい文以外は,問題にしなくてもよい。
○ 書いてある通り読む。これは,30%強のものが,読み落したり,つけ加え読みをしている。ことがらごとにまとめて,確実によみ進めさせなければならない。
○ 会話からの気持ちの読みとり。
<みかんの木の寺>には,子どもたちの会話が多い。また,直接おしょうさんが出て来ての子どもたちとのやりとりは一回であるが,おしょうさんの,札に書いた文が4回でていて,この読みがポイントになる。
会話の部分からだけの,浅い読みになりがちの子や,ひとりよがりの読みをする子,また,ことがらを読みあやまる子などがいるので,注意したい。文章と,子どもの考えとを,よくたしかめていく。音読(朗読)も大事にしたいものである。○ 「行動」からの気持のよみとり
「行動」の前後の文を注意深く読ませる。どんなことをしているのか,はっきりさせる。動作化させてみる。「行動」から,気持ちを想像することは,むずかしいことである。できるだけその入物の置かれている状況,話のすじを明らかにして読み深めていくようにしたい。2 <みかんの木の寺>の読みの分析
(1) 登場人物を読みとる
下のような問題を用意し,一読後答えてもらった。
一読して答える
◇ <みかんの 木の 寺>をよんでこたえなさい。
1 このおはなしにでてくるひとをかきなさい。
2 ぶんしょうを よんで,あとの といに こたえなさい。
ある日,こう いって,いちろうたちが この 木の下に あつまりました。
「とって みようか。」
「うん。」
いちろうが,そっと 手を のばしました。
「こらっ」。〕と,そのとき,大きな 声が して,本どうの しょうじが ガラッと あきました。
お寺の おしょうさんが,うでまくりをして,つっ立って いました。
みんなは,ばらばらと にげました。
(1) つっ立って いる おしょうさんはどんな きもちだと おもいますか。
(2) どの ことばから そう おもいましたか。
(3) みんなは,にげだして,しばらく いってから,どんな はなしを したと おもいますか。そうぞうして,たくさんかいてください。3 「みかんの 木の 寺」の どんなところを おもしろいと おもいましたか。
4 ぎもんにおもったこと,わからないこと,しらべたいことなどがあったらかいてください。