研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 072/118page

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○ はっきりしないもの
○ 作品の内容とはかかわりのないもの。

ア おしょうさんについて
 おしょうさんの行動についての疑問である。
【1】〜【9】まで17名である。
・おこったのにあとでみかんをくれたこと。
・札を下げておいたこと。
・みかんをもぎとっておいたこと。
・おしょうさんがでてこないこと。
などに,まとめられる。大事なことは,これらについて,「私は,こう思う」という子どもなりの考えを出させることである。そこでいろいろな意見がでれば,本文にもどって,読みを深めていくことである。

 おしょうさんは,本当に怒ったのかどうか。

いちろうが,手をのばしたとき,
こらっ。」と大きな声を出し
本どうのしょうじを,ガラッとあけ
おしょうさんが,うでまくりをして,
つっ立っていた と書かれている。怒っていると読むのが自然であろう。

 つぎのような解釈もある。怒っているように表現されているが,おどしているに過ぎないというものである。この解釈は,あとで,みかんをくれるやさしいおしょうさんだということと関係してくる。

 はじめに,いちろうが手をのばしたとき,おしょうさんが,ニコニコして出てきて「あとで甘くなったらあげるからね。」といったり,一郎たちも,約束を守り,仲良くもらって食べましたで終るのが普通の話しだろうと思われる。それでは大しておもしろくもない。

 札を下げるというおしょうさんの行為,それとうらはらの関係にあるおしょうさんが出てこないことなども,すこしひねった話の運びである。それを,おもしろいと感じる児童と,おかしいなぜだろうと,感じる児童が出ている。

 また,約束の日に,わざわざみかんを木からとっておいたことを,疑問だとしているものもいる。一郎たちは,一時〈だまされた〉と受け取るのであるが,やさしいおしょうさんだとだけは見られないだろう。(【16】【17】)

イ 一郎たちについて
 【10】【11】は本文をていねいに読めば,わかることであろう。【12】は,【18】【14】などと共に,みかんをとることを,悪いことと思わないのを疑問に思っている。一方,このことについては,かなりの児童に,みかんをとるのは当然だというような読みとりがある。

ウ はっきりしない疑問
 【20】【21】がこれである。具体的に出させることが先である。

エ 作品の内容とはかかわりのないもの。
 【22】である。この童話は,暖かい地方での,ほんとうにあったことのように思われる。こんなお寺もありそうだし,おしょうさんも,いちろうたちも,身近かにいそうである。と,思ったのであろう。しかし,一方では,本当のことではないようであると思ってのことだろう。現実の世界と虚構の世界などいうことは,二年生は考えないだろう。こういう疑問には,理くつでいろいろ言うことはない。

 【23】は,「ほんとうは,とてもむずかしい名前でしたが……」と書かれているので,では,ほんとうの名前は?と軽く思ったのであろう。ただし,感想文の中で,「みかんの木がなくなったらどうなるのかな」と,子どもらしい心配をしてはいる。童話などの読みでは,「ぎもん」など,あまり意識させない方がよいと反省している。

(5) おもしろいところ

 このことについては,前後二回調べてみた。一読したあとのものが○で表してある。読みの学習が終了してからのものを×で表した。は,変わりのないものである。
 できれば,


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