研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 080/118page

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 はじめ,「こわいおしょうさん」と,とらえ,あとで親切になったと考えている。「みかんの木に札をかけた」ことのおもしろさ,それと,一郎たちとの関係に目をむけている。あとの二行で,こんなおしょうさんなら,ぼくも,もらいたいと自分に引き寄せて考えているのがほほえましい。

5          【25】女子

 おしょうさん,どうしてみかんの木から,みかんをとっておいたのですか。みんなは,「あっ,おしょうさんに だまされた。」と,いいましたよ。
 でもおしょうさんは,さいしょは あんなにこわかったのに,今は,みかんをたべてもいいよっとかいて,さいごには,すこしやさしくなったんだなと わたしは おもいました。

 本文から,引用して書いたのは,この子のほか2名である。自由に,もぎとって食べさせなかったことをとりあげている。親切心からもいでおいたのであろうか。「だまされた」と思わせるために,そうしたのではあるまい。ただ,もいで,かごに入れて,手紙を,のせておくということを知らずに,ぷんぷんしている一郎たちは,一層おもしろくは見えるだろう。

6          【34】女子

 おしょうさん お元気ですか。わたしは 少し,かぜをひいています。でも 元気です。
 どうして,はじめ おこっているのをみせて,あとからあげたのですか。
 わたしは,それと,もう一つしりたいことがあるのです。「ぬすんで食べたら すっぱい すっぱい。」というのは,どういういみなのですか。わたしは,いっしょうけんめい考えましたが,わかりません。先生に,さされても こたえがでてきません。そのことを教えて くださいね。
 それじゃおしょうさん お元気でね。ながいきしてください。

 この子は,おしょうさんが,「おこっているのをみせて,あとからあげたこと」をとりあげている。これは,ほかの多くの子の気にしていることである。また,「ぬすんで食べたら,すっぱい,すっぱい。」の いみを問題にしている。「青いうち,或いは,熟さないうに食べたら,すっぱい。」と違うのである。では,おしょうさんは,「ぬすんではいけない。」と,言いたかったのであろうか。
熟して,あまくなっても,ぬすんで食ぺたら,すっぱいと,言うことなのか。あのときは,「ぬすんで食べるのだから すっぱい」いまは,待っていて,食べてよいと言われて食べるから,「甘い」ということなのであろうか。

7          【38】女子

 おしょうさんおげんきですか。わたしもげんきです。
 なんでみかんの木の寺のおしょうというのですか。わたしはとてもばかばかしくて,わらいがとまりません。どこで というと,ときどき家でよむと,すごく すごくわらいが とまりません

 すこし変わった感想である。「家でよむと,わらいがとまらない」というのである。「ばかばかしい」というのは,どういうことなのだろうか。

8          【41】女子

 おしょうさん子どもがすきですか。みかんが もっとのこっていたら すこしくださいね。
 おしょうさんは,何さいですか。わたしは八さいです。わたしがならっている先生は,○○先生です。わたしのともだちは,○ちゃん,○ちゃん,○ちゃん,○ちゃん,○ちゃんです。
 おてらには おぼうさんが いますか。
 おしょうさん おてがみちょうだいね。わたしまっているからね。きっとだよ。

 この感想は,角度が違うのである。内容の読みにはふれていない。
 このほか,おこったり,やさしくしたわけ。ぼくにもみかんください。やさしいおしょうさんですね。などの感想が多い。いずれも,部分についての感想であり,全体を読み通しての解釈,感想は,二年ではむずかしいことがわかる。


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