研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 104/118page

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2) いか肉の組織

写真6.いか胴側の皮と筋肉繊維の一部
   生 ×100
写真6

 いか胴側の皮は写真6で見られるように4層からなっている。1層と2層の部分は黒く見えるが,これは色素胞である。皮をつけたまま加熱した場合,赤褐色になるのはこの部分である。普通皮をむく場合は,2層と3層から分離する。したがって色素層が除かれるため,加熱した場合にも肉は白くできる。

 3層と4層は肉と密着しているので除きにくい。写真6の右側の筋繊維(横に走っている繊維)と直角に交わって縦に走っているのが4層のコラーゲン繊維であり,この繊維は強じんで筋繊維を固定している。

 いか肉が加熱により収縮したり,丸まったりするのは筋繊維と4層のコラーゲン繊維の性質によるものである。

写真7.いか肉の組織(体軸に平行)
   焼いたもの ×100
写真7

 写真7はいか肉の組織を体軸に平行に切ったものである。筋繊維が体軸に直角に走り,その一部が一定の間かくで仕切り様の組織におさめられている。この仕切りの膜の間かくは200〜500ミクロンといわれているが,加熱時間が長くなるほど狭くなってくる。加熱により筋繊維が収縮するためである。

(2) いか肉の加熱による変性

1) 試料  するめいか 1ぱい
2) 用具  温度計,ストップウォッチノギス,はかり,一般調理器具
3) 方法
@ 胴部の軟骨のあった方を縦に切り開き外側の1,2層の皮をむく。
  縦4p,横2pを4枚作りa1〜a4とする。
  縦2o,横4pを4枚作りb1〜b4とする。
  残りの部分を2秒湯につけて,直ちに冷水にとり3,4層の皮と内側の皮をむきa1,b1と同じ大きさに切りそれをa5,b5とする。
A なべに水500c.c.を入れて火にかけ,50℃になったらa1,b1を同時に入れ20秒たったら取り出す。
B 湯の温度が90℃になったらa2,b2を入れ20秒後に取り出す。
C 湯の温度が90℃になったらa3,b3を入れ20秒後に取り出す。
D 湯の温度を90℃に保ち,a4,b4を入れ60秒後に取り出す。
E 湯の温度が90℃になったらa5,b5を入れ20秒後に取り出す。
F 加熱した肉の重量と縦,横の長さを測り,減少率,縮少率を計算する。
4) 実験結果と考察
 加熱後の形の変化は写真8でみられるようにa3,a4は皮の収縮が大きく縦に曲っている。加熱するとコラーゲンは加熱短時間の場合は,肉繊維より収縮率が大であるため,いか肉は表の方に体軸の方向に巻き上


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