研究紀要第31号 児童・生徒の学習能力の発達と授業に関する研究 - 005/043page

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4 授業の記録

T1 きょう勉強することは何だったかな。
 C0 口々に言う。手紙を直す……。組み立て…
 C1 はい。あのうー 手紙を直すことです。
T2 うん,そうね。(黒板にめあての表を貼布)
T3 矢巻さん,読んでごらん。
 C2 自分の手紙を読み返し,よい手紙を書くため,組み立てをつくる。
T4 そういうことの勉強やりますね。自分が前に書いた手紙を読み返して,もっといい手紙を書くように,組み立てを作っていく。この前,最初の手紙書いた時にね,ちょっと見せましたが,中沢さんは始めから,もう,こういうのを作って書いたのです。(T・P)
T5 うすい?うすいの?
 C0 うすい。うすすぎる。
T6 ほう,うすすぎる?(戸をしめる)
(子どもたち,T・Pを見る)
T7 最初から,こういうのを作ったのは,あのときは中沢さんだけだったんですが,……先生書くように言わなかったからね。中沢さん,なぜ,これ書いたったの。
 C3 はい,あの,書きつづけることを何にするか,迷わず書けるし,あと順序,まちがわずに書けるから,それを作りました。
T8 なるほど,わかった?そういうことを考えてこれを最初に書いた,ね。こういうことがわかっていると,いま言ったように便利なところがあるね。それで,きょうは,これと同じものではないけれども,こういうものを自分の手紙をよみ返して作ってみよう,そういうことですね。

 

T9 書かなくてもいいよ。ノートに。前にみんな書いてあるはずだから。
T10 組み立てを作るんだが,この前,教科書の最初の単元のところに,「書くことをととのえて書こう」ね。ととのえて書くって,どういうことって言ったら,何人か言ってくれた。みんなのノートにも書いてあると思う。

本時のめあてを知らせる
ここでは,本時のめあてとして,二つのことを出している。自分の手紙を読み返すことと,組み立てをつくることである。二つとも作業の明示である。「よい手紙を書くため」と入れたのは,すでに手紙を書いている(組み立て表をつくらずに)ので,これを前時の学習事項をもとに読み返し,書き直す点を見つけ出させようと意図している。
この事を通じて,3年生なりに,手紙を書く場合大切なこと,気をつけるべきことを確認させると同時に,組み立て表をつくらせ,事柄ごとにまとめて書く力を伸ばそうというのが,ねらいである。


○めあて(板書)
自分の手紙を読み返し,よい手紙を書くため組み立てをつくる。


○中沢が自分なりにつくったメモ

 知らせること  だす人 (大沼さん)
1 学校の球ぎたいかいがあったことを書く
 ・ 女は,ぜんぶまけたこと
 ・ でも2位になったこと
 ・ 3組に男も女もかったこと
2 係がえをしたこと
 ・ 学級係になったこと
 ・ せんきょをしてきめたこと
3 わくいさんという,女の子の転校生が来たこと
 ・ わくいさんが,せんきょで2位になったこと
たずねること
1 なに係になったか
2 福島より北海道のほうがいいかどうか
3 どんなところにすんでいるか


中沢のメモをもとに,その有用性,形,なかみをとらえさせ,意欲を高めるよう配慮している。

手紙を書き直す観点を思い出させる
 この分節は,次の分節への導入のためにある。
つまり,前時に学習した内容をよみ直しの観点として,はっきりさせようとしている。「ととのえて書く」とは,どういうことであったか聞き,きのう答えてくれた子どもたちを中心に,みんなに思い出させている。前時の学習内容


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