研究紀要第31号 児童・生徒の学習能力の発達と授業に関する研究 - 009/043page
T41 あ,ちがうことだから?うん。こっちの方はドッチボール,球技大会のことが書いてあるね。こっちの方は,学級の係のことだから,ここで,こういうふうに切った方がいいだろう。段落,わけた方がいいだろうということなのね。そういうことをいったわけね。
C22 うん,そうだ。(口々に)
C23 「それで」で,つなぐといい。
T42 じゃ,はい,次に行くよ。
T43ここはどうだろう。まだ手をあげるのいいよ。
まだ手,いいよ。
T44 あきら君。どこに気がついた?
C24 はじめは,おろしうり市場のことで,〈それから〉で切って,一段落……。
C25 うん?あれーっ。
C26 それでもいいよ。遠足のことだもの。
T45 そう。あき子さんは,どう考えた?
C27 わたしは,〈友だち〉などのところを,大きなすべり台でした,の下につづけたらよいと思う。
T46 あゝ,つないでしまっても,いいじゃないか。
ここを,こういうふうに,同じ遠足で遊んだことだから。
C28 〈先生もみんなといっしょに〉のところを〈友達と何度もすべりました〉というところにつないでもよいと思います。
T47 これをつないでもいいんじゃないか。なるほどね。同じ段落だから,そうするとね。こっちのところでは,いまでているのはね。球技大会の,さっきやったね。それから係きめたことだね。それから,これは,遠足のことだね。遠足のことは,ここつなげちゃってもいいんでないかという考えが今でたわけね。
(メモ表にもどる)
T48 そのつぎの,じゃ,これは何かありますか。
T49 草野君はどう?
C29 〈どんなところにすんでいるの教えてください。と,それから学校のようすも〉とい
に例文の上で指摘し,「ちがった事柄は,一つの段落に書かないで,分けて書く」ことを知らせている。このことは,本時の具体目標であるの一つの項目になるわけである。C21の発言や,T11の説明にほとんどの子がうなずいていたのを見ると,「事柄ごとにまとめて,段落にするのだな」と理解できたと考えられる。また,簡単な内容の文章であれば,段落の中に書かれている事柄をよくとらえる力も身についていると評価できよう。
BCDの部分
B 九月二十七日は遠足でした。はじめに,おろしうり市場を見学し,それから,りょうぜん子どもの村に行きました。りょうぜん子どもの村には,遊ぶところがたくさんあって,とてもおもしろかったです。とくにたのしかったのは,大きなすべり台でした。
C 友だちとなんどもすべりました。
D 先生も,みんなといっしょにすべりました。
ここでは,前の分節とは逆に,一つの事柄が二つの段落に表現されているのを,一つの段落にまとめさせようとしている。ところが,C24は,また段落に分けることを考えている。Aで,「それから」のところで切ったので,機械的に,「それから」ということばが出てきたら,切ればよいととらえてしまったのであろう。これに対し,C25が疑問を出し,C26は,遠足のことで,一つの事柄だから,このままでよいのだとC24の考えを否定している。
そして,C27,C28で,Cの文とDの文とを続けて一つの段落にした方がよいと気づいた発言である。
教師の予想していたものである。T47はだめおしである。@からDまでの段落は結局,球技大会のこと,係をきめたこと,遠足のことの三つに整理した方がわかりやすいと教えている。Eの部分(T・P)
この部分は,特に直すべきところはなく,さらりと進んでよいと,教師は考えていたのであろう。
ところが,C29の発言は,予期しないものであった。