研究紀要第31号 児童・生徒の学習能力の発達と授業に関する研究 - 010/043page
うところを切った方がよいと思います。
C0 あー,あー(多数)
T50 切った方がいい?二つの場面に分けちゃうの?わけた方がいいと思う人?それとも,このままにしておいた方がいいか,考えてください。
C30 切った方が−。
C31 分けた方が−。
T51 分けた方がいい?ちがうこと書いてあるの。
この中に。
C32 うーん,えー,そうじゃない。(5・6人)
T52 どうかな。安斎君。これは何のことだと思います?
C33 はい。北海道のようすはどうかということ−。
T53 教科書のことでいうと?教科書に書いてあった分け方でいうと,これは,何のところだ?
C34 たずねること。
T54 たずねることだよね。だから,ここは,たずねることで,このままにしておいてもいいんじゃないか,ね。「たずねること」ね,え。
大沼さんにいくつかたずねている。このままにしておいてみましょう。
T55 じゃ,これはどうでしょう?(T・P)
T56 直した方がいいところあるかな。これはね,これだけ見るとちょっとわからないんだかも知れないけれども,これで見てごらん。
(全文を写す)
C0 うーんと,(みんな考える)
T57 ね,このへんに気をつけて,(指示)
C0 −
T58 いまやっているのは,このFばんのところね。
C0 はい(多数)
T59 ちょっとむずかしいかな。
C0 はい(多数)
T60 はい。塩田君。
C35 はい。あの,ぼくの,ぼくの,大沼さん,そちらの住みごこちはどうですか,というところ,7番の方にさげて,7番の方を9
そして,多くの子どもたちも,「あー,あー」ということばから考えると,直さなくてもよいと思っていたのであろう。しかし,この子らも,切った方がよいと言われてみると,切るべきかなと迷ってくる。
E 大沼さん,そちらのすみごこちはどうですか。
どんなところにすんでいるのか教えてください。
それから,学校の様子も知らせてくださいね。大沼さんに,また会えるといいな,と思います。
まだ,段落をひとつにまとめてしまった方がよいもの,事柄ごとに,分けた方がよいものの,きめ手となる理由づけが定着していない子がいることを示している。それは,C30,C31,C32などに代表されて出てきているものと考えられる。
C33は,「何のことか」ときかれたので,書かれている事柄について答えている。教師の質問の意図は,「たずねること」という答えを待っているわけである。つまり,「たずねること」というカテゴリーで見れば,同じことだと気づかせたいのである。T53は「教科書に書いてあった分け方でいうと」と,限定してきいている。それで,C34で,(あっそうか,そのことか)とわかってくる。T54,考え方を子どもに分からせようとしている。
Fの部分
F 谷上君と,高野さんが転校しました。でも,わくいけい子さんという人がきました。とてもやさしい人です。
ここでは,順序をかえて(ずっと離れた箇所にあるもの)一つの段落にまとめた方がよい場合もあることを提示している。それで,このFの部分だけではわかりにくいので,全文を写し出す。
それでも,なかなか気づかない。むずかしいのである。前に出てきた−教科書で学んだこと,はじめのあいさつ,知らせること,たずねること−ような考え方をさせ,Fは知らせるというわくに入るから,知らせることにまとめた方がよいと気づかせたいのである。これは,同じくまとめるにしても,事柄ごとにまとめるだけで番の方に