研究紀要第31号 児童・生徒の学習能力の発達と授業に関する研究 - 016/043page

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5 指導の反省

(1) 1時間の指導の反省

○ 推考の観点は,前時に学習したノートを参考によくたしかめることができた。
○ 参考例文をもとに,どこを直したらよいか考えさせたが,段落のおさえ方は少しむずかしかったようである。一つの事柄は一つの段落に書くという指導を,さらに続けなければならないと反省する。書く順序はよく気付いていた。OHPで全文を写し,段落ごとに写すという方法をとったが,全文を印刷して与えておけば,もっと順序が考えやすかったのではないかと思う。
○ 自分の手紙を読み返し,全員構成メモをつくることができた。メモを見ると,項目のみのもの,少し内容も書き加えたもの,項目ごとに内容を書き加えたものと,三段階位に分けられる。発表も,この三段階のものを選び投影し補説した。学習活動ので,望ましい構成の例を提示しておくのも一つの方法であると考える。
○ 時間配分は,学習活動のの時間配分をふやし,をへらしておくべきであった。
○ 文章の組み立てを考える学習は,児童にとって初めてのものであったが,発表された構成メモ等を参考に書き加えをし,まとまりのあるものにすることができた。
○ トラペンアップによるTP作製など,機器の利用は効果があった。

(2) 単元を指導しての反省

@ 指導計画立案にあたって,下記の二つの方法を考えた。

その1
その2
1 手紙文を書いた経験や受けとった経験を話し合う。
2 教材文を読む。
3 手紙の書式などを理解する。
4 伝達の目的に合った書き方を理解する。
5 実際に手紙を書く。
6 清書・投かん。
1 実際に手紙を書く。
2 書き方についての困難点を話し合い,学習の目標を立てる。
3 教材文を読む。
4 事柄を整えて書く書き方を知る。
5 手紙の書式などを理解する。
6 教材文で学んだことをもとに第一次で書いた手紙を書き直す。
7 清書・投かん。

今回は〈その2〉で計画したが,その理由は,次の通りである。
○ 1学期末に3名転校し,それぞれの児童から,近況を知せる手紙が届いていた。それで,自分たちの近況を知らせてやろうとしていた。
(手紙を書こうとする意欲の高まり)
○ 学級の実態をみると,書くことに抵抗はない。生活文など進んで書いている。
○ 自分の書いた手紙と教材文の比較により,興味を持って学習することができる。また書き方も具体的に理解できる。
 単元の学習を通し,児童の学習活動,態度,作品などから,上記の意図は有効であったと考える。

A 教科書では,手紙の種類として,内容面から質問お願いさそいお礼生活を伝えるお見まい,の手紙などをあげている。以外は,その必要が生じなければ書けない手紙である。児童の書いた手紙はが1名,他はであった。架空の条件設定による練習は考えず,手紙という形はとっているが,読み手を意識した生活文的なものということで指導した。しかし,目的・用件に即した手紙文の書き方は,児童の生活経験の広がりに応じ指導しなければならない。

B 相手に知らせたいことは何か,どんな順序で書くかということを,「整えて書く」こととしておさえた。また,書き手の一方的伝達に終わることは,読み手の興味を薄めることを知らせ相手との共通の思い出などを入れさせる工夫をさせた。手紙文で大事なことは,相手意識をはっき持つことであり,それによって書く内容にも,相手とのつながりが出てくる。手紙文の指導を,書式の指導に終わらせず,内容の充実に目を向けさせたい。

C 一つの事柄は一つの段落に書くという段落意識は,十分育っていない。そこで,短冊カードを用い,一つの事柄を一枚のカードに書くというようにすれば,順序の並べかえもでき,構成が容易にできると考えた。


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