研究紀要第31号 児童・生徒の学習能力の発達と授業に関する研究 - 017/043page

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6 考察

(1) 授業の構造

授業の構造

@ 本時の位置

 本時は,教科書を活用しで,「手紙文」を指導する単元の9時間扱いの5時間めに当たる。1で書いた手紙を材料にして「整えて書く」こどの学習をする。3・4,で学習したこと(教科書の文章から読みとったこと)を生かす。さらに構想をまとめ,構成メモをつくる。これらは,6・7の学習を規定する大切な位置を占めるものである。

A 授業の流れ

授業は,左の図の5(本時の学習事項)のように進められた。この流れのうち,は切り離されず,(一つの活動として)行われている。の前提として(このような点に目をつけて,このような方法で,自分で手紙を直すのであるという例示)を取り上げているのである。
 また,の基礎となる直す観点を分からせるためにを計画したのである。これは,3で学習したことを思い出させて,に適用させるためである。教科書教材の読解(後に手紙を書く場合のことを十分考慮して学び取らせた事柄)が,ここで生かされなければならないわけである。
 こうしてみると,本時の主眼であるの学習を成立させるために,手順をふんで一歩一歩展開されていることがよくわかる。

B この授業の特色

本時の特色は「事柄ごとにまとめて書く力を伸ばす」ことを中心に置き,広い意味の文章構成力と推考力をも働かさねばならないように計画されていることである。即ち,子どもたちは,自分の手紙を直す観点を理解し,(段落のまとまり,順序相手意識,分かりやすさ,書式など)それをもとに,直すところをはっきりさせ,組み立て(構成の表に書きこむ)をつくらねばならない。これは「推考」し,想をまとめなおして組み立て表をつくるという二つのしごとを同時に行うことになる。
普通には,「取材」し,想をまとめ,記述というように展開されるのにくらべ,子どもたちにとまどいが見られるかと思ったが,そうではなかった。
 このことは,考えようによっては,書くことがらが(取材)がはっきりしているので,それを吟味して,用件に応じ,相手に応じ,構成していけばよいので,やさしいとも言えよう。新しく想を練るよりらくなわけである。ただし,単なる事柄の並べかえでなく,なるべく内容をふやしていく方向に,相手によく分かるように書くことなどの強調は大切なところである。
また,O・H・Pを多くの場面で利用していることと,子どもの作品(手紙・構想メモ等)を資料として有効に取り上げていることも注目したい。


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