研究紀要第31号 児童・生徒の学習能力の発達と授業に関する研究 - 037/043page
C9 海岸のところです。
Cl0 平野や盆地です。
C11 平野で農作物がとれる所です。
T6 これらのことがらは,どんな資料を使って確かめたらよいでしょう。
C12 人口分布図と,地図帳47ページと48ページの世界の地形図をみるとよいと思います。
C13 人口分布図と地形図をあわせてみるとわかります。
C14 資料集86ページの地形図でもいいです。
T7 それでは,人口分布図の上に平野・山地をあらわした地形図を重ねてみます。
−OHP(人口分布図に地形図を重ねて)投写−
T8 人が多く住んでいる地域は,平野であるということがすぐわかりますか。
−ざわめきあり−
こういうふうに,重ねてみること,くらべてみることによって,調べることができますね。
吟味された資料で,世界の人口を調べ,発表させたが,C1,C2のように,38億6千万人とだけ答えているので,統計資料を読みとる場合,何年度の統計によるという出典年度に気をつけさせるために,T2で指導をくわえた。
〈評価2〉
人口分布図から,人々が多く住んでいる地域を読みとる。
評価する観点は,下記のように設けた。
A { ○ドットの広がりがわかる ○ドットの集中しているところが人口が多いことがわかる。 B { ○人口が集中している三つの地域がとらえられる。 ・アジアの東部・南部 ・ヨーロッパの西部 ・北アメリカの東部 C { ○集中しているわけを自然条件などから,考えて追求しようとしている。 ・平野である ・農業がさかんである ・交通の発達 ・商工業の発達
以上の観点から,巡視により評価した。
尺度として,Aが書かれていれば下,ABは中,A,Bにそのわけをさぐろうとして,Cが答えられれば上とした。
上A・B・C 15名 中A・B 20名 下A 0名
下位の児童に対して,日本の人口分布図を用意し,読みとりの個別指導をする手だてを考えていたが,評価の結果,B群の完全でない児童はいたが,下位に属する児童がいなかったため,日本の人口分布図での読みとりの指導はしなかった。
Bの完全でない指導に対して,三つの地域に目を向けるような助言をあたえた。
人口分布と地形の関係をとらえさせる指導に入り,資料の選択はBですでに指導されていたためか,C12,C13,C14のように,選択する力がここで活用されたと思う。さらに,二つの資料を対比する学習に進んだ。ここでたいせつなのは,二つの資料の操作と読みとりである。C13の発言の中に「………をあわせてみるとわかります。」とあるが,これは,資料の操作として,貴重な意見であった。児童たちは,あわせるということは,すでに重ねるという意味であろう。そこで,OHPにより,その操作を行ない明確にした。読みとりにおいては,人口と地形の関係が的確にとらえられたためか,おどろきとも思われるざわめきがあった。ここで児童たちは,資料を対比して新しいことがらを読みとるための操作を理解できたと思う。