研究紀要第31号 児童・生徒の学習能力の発達と授業に関する研究 - 038/043page

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T1 人口分布の調べかたには,このほかに,人口の多い国や少ない国,人口密度の高い国や低い国という見かたがあります。教科書15ページに,各国の人口と人口密度をあらわした資料があります。この二つの資料を見て読みとれることを学習カードに書きましょう。
 各国の人口と人口密度
各国の人口と人口密度

〈評価3〉
−学習カード(授業後)による評価−
T2 読みとったことを話し合いましょう。
C1 ソ連やアメリカなどは,人口が多い方だが,人口密度となると低い方だ。
C2 それは,人口のわりに国の面積が広いからだと思う。
C3 中国とかインド・ソ連は人口の多い国だが,人口密度となると,一定の面積の中に何人の人が住んでいるかということになると……やはり,バングラデシュより低くなる。
T3 一定の面積というのは,一平方キロメートルです。一平方キロメートルあたりの人口を人口密度というのですね。
C4 人口が多い国でも,土地が広ければそれだけ人口密度が低くなるので,せまい国の方が人口密度が高くなりやすい。
C5 人口密度の高い国ほど面積が少なくて,人口が多いところだということがわかってバングラデシュは,とくに面積が小さくてそのわりに人口が多いことがわかりました。
T4 そうですね。この二つの資料から,みなさんは,人口の多い国,少ない国,人口密度の高い国,低い国が読みとれました。そこからさらに,人口の多い国でも,人口密度が高いとはかぎらないことにも気づいたようですね。

 二つの資料を関係づけて読みとる学習にに入り,人口分布図と地形図で学んだ資料の読みとる力をどの程度活用できるかをを抽出児3名により評価した。
〈評価3〉
 各国の人口と人口密度表の二つの資料かから読みとる。
 評価基準を三段階とした。

  表面的な読みとり 対比した読みとり 傾向や法則的な読みとり
C児
(下位)
○世界で人口の多い国は中華人民共和国である。
○バングラデシュは人口密度が500人をこえている。
(個別指導) (全体指導)
B児
(中位)
○人口の一番多い国は中国で二番がインド,三番がソ連である。
○人口密度の高い国がわかる。
○日本の人口は世界で第6位だが,人口密度は第5位に高くなっている。 ○人口が多くても国土が広ければ人口密度は低くなる。
(全体指導)
A児
(上位)
○人口の多い国は中国,インド,ソ連,アメリカの順になっており,日本は第6位である。
○人口密度の高い国はバングラデシュだが日本は第5位である。
○バングラデシュは中国より人口が少ないのに人口密度は中国より高い ○人口の多い国でも人口密度が高いとはかぎらない。
○人口密度の高い国は,土地の面積が小さい割に人口が多い。

 A・B児は教師が意図した評価基準に到達していたが,C児は予想されたとおり,表面的な読みとりだけでつまずいていた。そこで,その他の下位児童(3名)に対して,日本の人口と密度を対比させて読みとる指導を机間巡

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