研究紀要第31号 児童・生徒の学習能力の発達と授業に関する研究 - 039/043page
視して行なった。
読みとったことの話し合いでは,中位・上位の児童の指名をしたのは,すでに個人指導を行なっているので,表面的な読みとりは,全員でき,対比した読みとりをしているC1,C3の発言は,下位児童に大へんよかった。さらにC3の発言の中に「一定の面積の中に,何人の人が……。」という人口密度の意味の不十分さが感じられたので,ここで,人口密度の用語を指導した。C4,C5の発言は,傾向や法則的な読みとり方をしていると思われる。
ここでは,資料の読みとる力が,どの程度身についたかも知ることができた。図とグラフで資料の種類はちがうが,二つの資料を対比して読みとるという点では同じであると考える。
D 学習のまとめ
T1 今までに学んできた,人口が集中している地域,これを今までに作ってきた地図(地形図)にさらに書きこんでみましょう。
地域がよくわかるようにくふうしよう。
−作業中,机間巡視して主に作業のおくれている児童に助言指導−T2 みなさんが作ったこの資料をみて,また今日学んだことを考えながら,気づくことがありませんか。
C1 シベリア,アマゾンに広い平野があるのに人口が集まっていません。
C2 大きな川が流れていて,平野ができていても,住むのに適していないようすです。
T3 それはどうしてでしょうか。
C3 ………
T4 住むのに適していないわけは何だろう。
C4 寒いからです。
C5 アマゾンは暑いからです。
T5 暑すぎる,寒すぎるということは,まとめて気候と考えていいですね。
T6 それでは,この次の時間には,世界の気候のことについて調べましょう。どんな気候かを調べるために,資料をいろいろ集めておいてください。
学習のまとめは,世界の人口が,大きく分けて,三つの地域に集中していることを各自が前時に作成した地形図(白地図に平野,山地,主な山脈,川を記入した作品)の上に記入させ,位置を更に確認させた。
時間的に余裕がなかったため,授業後に作品の評価をした。三つの地域の位置が大きくまちがっていることはなかった。
重ねて書き入れる場合,前時に書き入れたことがらもわかるように,書くくふうがそれぞれなされていた。
次時の学習課題を設定するにあたり,各自の作品から気づいたことが気候に関することであった。そのための資料の収集をさせることにした。
(10) 指導の反省
この単元を展開するためのポイントとしてとり上げたことがらについての,授業による分析と,児童の記述から,いくつかをとり上げて述べていくことにする。
@ 児童の変容と評価
この単元は,学習が進むにつれて,世界の国々を理解する上で,ものさしとなるような見方,考え方と資料を活用する力が深まっていく学習内容である。学習前の資料に対する意識と世界地図や地球儀,統計資料,及び図表などの活用を学び終えた意識は,あきらかにちがってくる。即ち,世界地図や地球儀の活用のしかたがわかり,それによって世界の概要をつかむことができる。さらに,我が国と各国の位置関係もとらえることができる。
これまでに持っていたイメージが大になり,