研究紀要32号 教師の教育相談的態度の実態調査とその考察 - 013/020page
イ.小学校教員集団については,図2の全調査者のプロフィールと酷似しており,診断的な態度が最も強く,理解的な態度が最も低い。
ロ.中学校教員集団については,図5に示されるごとく,診断的態度と解釈的な態度の2つの態度が強く,「ふたこぶラクダ」的なプロフィールが目立つ。ただ,このプロフィールにおいても,理解的態度が最も低いのが目立つ。
ハ.高校教員のプロフィールについては,解釈的態度が他の5つのプロフィールに比して最も低い点が特徴としてとらえられる。
ニ.特殊学校教員のそれは,評価的な態度が最も強く,診断的態度がそれに次いでいる。なお,理解的な態度は全調査者中で,幼稚園教師と共に最も低い特徴がみとめられた。
これは,特殊学校という性格から,日常の教育活動が当然他の学校と異なり,その結果醸成されてきたものであろう。
ただ,この推論は,あくまでもわずか9名の特殊学校教員のデータから推察したものであり,的確にその特徴をとらえているかどうかは非常に疑わしいものがある。したがってあくまでも参考的な考察にとどめたい。ホ.幼稚園教員の特徴は,特殊学校教員のプロフィールと非常に良く似ており,評価的態度・診断的態度が高く,理解的態度が最も低い。
これは,年少の子どもを扱うのには,理解的な態度よりも,評価的態度や診断的な態度を優先させてしまっている(それはまずいのだが)結果から来ているのではなかろうか。へ.女子学生について考察を加えれば,他の5つのプロフィールのどれよりも理解的態度が高い点が第一に目立つ。次いで,診断的な態度も他のどの集団よりも高く,評価的態度・解釈的態度・支持的態度はやや平板的になっている。とりわけ,支持的な態度が他の集団より低いのは,他人を支持し,ほめ,はげましたりする訓練がまだ十分に開発されていないためであろう。
A カウンセラー・テストの職種別傾向分析について
図10〜図13はワカウンセラー・テストの職種別の傾向を考察すべく図表化したものである(女子学生の図表については,図9に示したので今回は省いてある)。
これらの諸図からは,以下のことが考察されよう。イ.校長職にある者は,評価的態度が最も高い。
ロ.教頭職については,評価的態度と診断的態度が共に高く,理解的態度が皆無である。
このことは,カウンセリング的な態度としては,最も危険なことであり,教師のリーダーとなって部下職員を理解し,教育の場における関係をよりスムーズに図る使命を持つ教頭職のありかたとしては,誠に残念なことといわざるを得ない。ハ.教諭のプロフィールは,全体的なプロフィール(図2)に最も近く,他の研究において示されているように,教師のカウンセリング態度の特性であるといわれる診断的態度・評価的態度が高くなっている。
二.養護教諭については,他のどのプロフィールよりも理解的態度が高い。このことは各学校において,実践的に(理論的なことは抜きにしても)カウンセリングを行なっていることから,体験的に理解的態度を身につけたためと思われる−若い年代の養護教諭の中には,かなりの者がカウンセリングの理論的研修を受けている者がいたようである。
一般的に養護教諭は,児童・生徒たちの評価をしない先生として人気があり,その結果,