研究紀要32号 教師の教育相談的態度の実態調査とその考察 - 019/020page

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図41

している。(図41を参照にされるとなお一層よく判明する)しかしこのことは,見方を変えて言えば,各問題間の差異がほとんどなく,平板型である。このことは,スクール・カウンセラー・テストが狙う,理解的態度の調査の信頼性−すなわち,理解的態度をどの程度身につけているかどうかを測定する尺度としての一つの検証となる内的整合性−がかなり高いことを示すものである。
 したがって,本カウンセリング・テストを受ける被験者が,カウンセリング理論を習得していれば,より平均が高く整合された(凹凸が少ない)ものになると思われる。

H 傾向分析・考察のまとめ

 @〜Gまで,いろいろな角度から傾向分析を試みてきたが,その中で今後の学校教育相談活動のより一層の普及と充実のために改善を必要とされる点がいくつか認めることができた。以下にそれ等を記述し,本研究のまとめとしたい。

イ.教育相談をおこなう上で最も大切であると言われる理解的態度をとる教師がきわめて少ない。
 このことは,今後の研修のありかたで最も重視していかなければならない点である。

ロ.日常の教育活動においては,"叱責よりほめること"が教育効果を上げると言われてきたし,それを実践すべく指導を受けてきている。しかし,今回のテストの結果からは,そのことの基礎となる支持的な態度も教師には不足していることがわかった。このことについても,観念的な定着ではなく行動変容にまでつながる研修指導が必要となろう。

ハ.イで述べた理解的態度の不足は,幼稚園教師に最も顕箸にあらわれ,次いで小学校教師があげられる。このことから,早期幼児教育をあずかる教師集団の教育相談への理解と関心を深めることが急務となろう。

ニ.教育相談活動を活発に行なうようにするためには,校長・教頭などの管理職者の理解と指導が重要であることは言うまでもない。このような点から考えてみて,評価的態度が高く理解的態度が低いことは非常に残念なことである。したがって,今後は一般教師への研修にのみ始終せず,校長会・教頭会などの場を通じて,教育相談に関する研修を深める機会を多く作る必要が痛感された。

ホ.相談係の経験の有無が,多少とも理解的態度の増進に役立っていることも認められたので,全教師が教職期間中に一度は必ず経験するよう配慮されるべきであろう。

へ.教育相談活動の状況によって,理解的態度が明らかに変動していることがわかった。これは,理解的態度が深まったことで相談活動が活発化してきたのか,相談活動が活発になるにつれて,学習が盛んになり,その結果理解的態度が養われたのかは判然としない。

 

7 傾聴の原理

 教育相談が十分に実践されている学校においてさえも,教育相談は,カウンセリングとイコールであると誤って考えられていることが実に多い。確かに,相談的マインド(相談的な心のありかた)の基本となるものは,カウンセリング的な考え方である。だが,教育相談=カウンセリングと言うような短絡的な思考をすることは,あまりにも早計である。しかし,本研究の頭初にも記したように,相談的な態度の主流をなすものは,カウンセリング的な態度であることは間違いない。したがって,本項では簡単にカウンセリングの基礎とでも言うべき,傾聴について触れてみるので参


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