研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 021/092page
るのがこのためである。
次のような展開を試みてはどうであろう。教科書にのっていない素材をとりあげてあるが,結局は教科書にのっている内容を,順序をいれかえて工夫してみたわけである。
〔展開例〕
1.はじめに次のような問題を提示し,生徒一人一人に解決のための工夫をさせる。
〈問題〉下の図〜について,@と,Aと,Bとをそれぞれ平面上で結ぶことにしたい。線は直線でも曲線でもよいが,線はすべて交差しないようにするには,どのように結んだらよいか。下の図の中に,実際に線で結んでみよ。
図1
2.生徒の思考や作業をとおしたあと,交差しないで結べるもの(と),交差しないと結べないもの()を区別させ,結べないものについては理由をのべさせてみる。ここでは,結べないものの説明のために,ジョルダンの定理というわかりきった単純な性質の存在とその有効性を強調していくためのふくせんである。
図2
3.結べない場合の理由をのべるのに,はっきりとさせていくために,視覚化してやり,位相変換の考えのすばらしさを感得させていくことが大切になってくる。斜線をひくことによって,内部と外部の区別を明確にさせることができる。
4.3で作った図を単純化(位相変換)させることによって,では,Bとが内部と外部にわかれていることが明確になって,交差しないで線を結ぶことができない理由がはっきりとしてくるようになる。