研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 023/092page
・学習の目標を明らかにし
・子どもを知り
・子どもが学べる展開過程を設定
するなどを通じて,授業に対する考え方や対処の仕方の認識を深めていくことが必要になってきます。この方法としては,わたしたち教師一人一人が自らの力で指導計画を実際に作成してみることが最も重要であり,効果的な方法といえると思います。授業はかくあるべきだとか,子ども中心の授業はこうあるべきだとか,主体的に授業にとりくませるには授業展開はかくあるべきだとか,空論を並べるのではなくて,ともかく,念入りの指導細案を自分でつくりあげてみること,これが現場での自己研修の要であるといえよう。
そこで,どんな指導計画案を作成したらよいか,その条件を略記しておこう。
1.ある特定の一時間の指導案を作成するのであるが,その時間を包含する「小単元」の教材研究を行うこと。
・小単元設定の事由
・小単元の目標
・小単元の教材構造
・小単元の指導計画
この4つの事項を"文章化"してまとめてみることが大切であります。頭の中にこれらの要点を描いただけでは無意味で,必ず言語化しておくことが必要です。人間は内心を外面化することによって,自己の意識のあいまいさや不完全さを認識し直すものであるといわれています。このような意味において,これらのことが,自己研修につながっていくわけです。
2.本時の指導部分の記述にあたっては,次のような事項に留意していく。
・指導目標だけでなく,授業後に,生徒たちがどのようなことができるようにならなければならないのか,その「到達目標」を明確にしておく。
・到達目標を達成するためには,どのような学習要素があるか,あるいは,到達目標を形成していくための下位目標としてはどんなものが考えられるか,それらのすべてを書き出し,指導案に実際に記載しておく。
・展開過程の設計にあたっては,指導形態・指導方法を下位目標(や学習要素)を結びつける。また,指導の流れに変化が生じるように工夫する。
・レディネステストとポストテストを明確にしておく。以上に掲げた項目を満足させる指導案を,一般に「指導プログラム」と呼ばれています。
したがって,指導プログラムの作成をどうするかということが大きな意味をもってくる。
3.授業後は自分で修正をする。つまり,Plan→Do→Seeの実践をする。
自分で入念に作成した指導案ではあっても,それは計画書であり,授業の仮説であります。
したがって,指導案通りに実施できるという保証はありません。このことから,授業実施後はまず自分の手で,予定通りに展開できなかったところを検討し,指導案を修正しておく必要があります。
修正にあたっては,自己の"感触"を大切にしたいものです。自分の感覚や感触による修正の積み重ねが,自己研修の基本条件と考えられます。自分で指導案をつくり,それに基づいて授業をし,そしてその指導案を修正していく。planに重点をおきながらも,そのdo(授業)とsee(検討と修正)を自分の力で遂行していくことが,実践家としての自己研修にもっとも重要なことです。